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マーケティングレポートの見方|見るべき指標・ダッシュボード・ROIの計算式

この記事の筆者
中井 寛太
株式会社JIMOTO Marketing Share BureauでマーケティングやPRを担当。Web系の広告代理店で、ブランディングマネージャーとして活動した経験を活かし最新のトレンドやビジネス情報を執筆します。
「代行会社から毎月レポートが届くが、数字が多すぎて何を見ればいいか分からない」「アクセス数は増えたと言われるが、売上につながっているのか判断できない」。BtoBの中小企業の経営者から、よくいただく相談です。
マーケティングのレポートは、数字を並べることが目的ではありません。経営者が「このまま続けるか、何を変えるか」を判断するための材料です。見るべき指標を絞れば、毎月5分で判断できるようになります。
本記事では、200社以上の中小企業のマーケティングを支援してきた当社の経験をもとに、次のことを解説します。
月次レポートで見るべき指標(集客・リード・商談・受注の4層+費用対効果)
経営者は見なくていい指標と、その理由
マーケティングROI・CPAの計算式と計算例
スプレッドシートで作れるダッシュボードと、月次レポートのテンプレート(Excel)
レポートを受け取ったときに経営者が確認すべき5つの質問
マーケティングレポートは「判断のための資料」
結論から言うと、経営者が月次レポートで確認すべきことは「売上につながっているか」「お金と時間を何に使ったか」「来月何を変えるか」の3つです。これに答えられないレポートは、どれだけ数字が多くても判断の役に立ちません。
マーケティングの効果測定とは、施策にかけた費用や時間に対して、どれだけ成果が出たかを数字で確かめることです。BtoBの場合、成果は最終的に「商談」と「受注」で測ります。アクセス数や問い合わせ数は、そこに至る途中の数字です。
レポートが分かりにくくなる3つの理由
よくある状態 | 原因 | 直し方 |
|---|---|---|
数字が多すぎて読めない | ツールから出せる数字を全部載せている | 経営者用は10指標前後に絞る |
良いのか悪いのか分からない | 目標や前月の数字と比べていない | 目標・今月・前月を横に並べる |
売上とのつながりが見えない | Webの数字だけで、商談・受注が載っていない | 営業の数字(商談・受注)も同じ表に入れる |
特に3つ目はよく起きます。マーケティング担当や代行会社はWebの数字を、営業は商談や受注の数字を別々に持っているためです。1枚の表にまとめるだけで、レポートの価値は大きく変わります。
月次レポートで見るべき指標|4層+費用対効果
経営者が毎月見る指標は、見込み客の流れに沿った「集客・リード・商談・受注」の4層と、それにかかった「費用対効果」の5つのグループに整理できます。下の層ほど売上に近く、重要度が高くなります。
層 | 指標 | 計算式・意味 | 見る理由 |
|---|---|---|---|
① 集客 | セッション数、流入元 | サイトを訪れた数と、どこから来たか | 見込み客との接点が増えているか |
② リード | リード数、CVR | CVR=リード数÷セッション数 | 接点が問い合わせ・資料請求に変わっているか |
③ 商談 | 商談数、商談化率 | 商談化率=商談数÷リード数 | 集めたリードの質と、フォローの良し悪し |
④ 受注 | 受注数、受注金額、受注率 | 受注率=受注数÷商談数 | マーケティングが売上を生んでいるか |
費用対効果 | 費用、CPA、商談単価、ROI | 計算式は次の章で解説 | かけた費用に見合っているか |

この4層は、見込み客が「サイトを知る→問い合わせる→商談する→受注する」と進むマーケティングファネルに沿っています。各層の「数」と、次の層に進む「割合」をセットで見るのがポイントです。数だけを見ると、どこで詰まっているかが分かりません。
数より「割合」の変化に注目する
たとえば、リード数が前月より増えたのに商談数が減っていれば、商談化率が下がっています。リードの質が落ちたか、営業のフォローが遅れているかのどちらかです。数だけを見て「リードが増えたから順調」と判断すると、この変化を見落とします。
経営者が見なくていい指標
アクセス解析や広告の管理画面からは、数百の指標が出せます。そのほとんどは、担当者が原因を調べるための数字で、経営者が毎月見る必要はありません。
見なくていい指標 | 見なくていい理由 | 誰が使うか |
|---|---|---|
インプレッション数(表示回数) | 表示されただけで、関心の有無は分からない | 広告運用の担当者 |
PV数・滞在時間・直帰率 | サイト改善の手がかりで、売上とは距離がある | サイト・記事の担当者 |
SNSのフォロワー数・いいね数 | BtoBでは商談との関係が見えにくい | SNSの担当者 |
メールの開封率 | 件名の改善に使う数字で、成果そのものではない | メルマガの担当者 |
検索順位の細かい上下 | 日々変動する。見るなら流入数とリード数で十分 | SEOの担当者 |
広告のクリック率 | クリックされても、問い合わせにならなければ意味がない | 広告運用の担当者 |

これらの指標が無意味なわけではありません。商談化率やCVRが落ちたときに、担当者が原因を探す材料になります。経営者用のレポートの本体には載せず、必要なときに「原因は何か」と聞けば十分です。
マーケティングROI・CPAの計算式
費用対効果を見る指標は、CPA・商談単価・ROIの3つで足ります。広告を出している場合は、ROASを加えてもかまいません。
指標 | 計算式 | 意味 |
|---|---|---|
CPA | マーケティング費用 ÷ リード数 | リード1件を獲得するのにかかった費用 |
商談単価 | マーケティング費用 ÷ 商談数 | 商談1件を生むのにかかった費用 |
マーケティングROI | (受注金額 × 粗利率 − マーケティング費用)÷ マーケティング費用 × 100 | かけた費用に対して、どれだけ利益が出たか |
ROAS | 広告経由の売上 ÷ 広告費 × 100 | 広告費1円あたりの売上 |
CPAは、会社によっては「受注1件あたりの費用」の意味で使われることもあります。レポートを受け取るときは、何を1件と数えているかを最初に確認してください。
計算例
ある月のマーケティング費用が58万円、リード36件、商談8件、受注金額240万円、粗利率40%だった場合の計算例です。数字はすべて説明のための例示です。
指標 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
CPA | 580,000円 ÷ 36件 | 約16,111円 |
商談単価 | 580,000円 ÷ 8件 | 72,500円 |
マーケティングROI | (2,400,000円 × 40% − 580,000円)÷ 580,000円 | 約65.5% |
ROIを見るときの2つの注意点
売上ではなく粗利で計算する:売上で計算すると、費用対効果を大きく見積もりすぎます。自社の平均粗利率を掛けてから費用を引きます。
1か月で判断しない:BtoBは、リードが生まれてから受注まで数か月かかることが珍しくありません。展示会や記事のように効果が遅れて出る施策は、四半期や半年の単位でROIを見ます。
マーケティングダッシュボードの作り方|スプレッドシートで十分
中小企業のマーケティングダッシュボードは、専用のBIツールを入れなくても、ExcelやGoogleスプレッドシートで十分に作れます。大切なのは見た目ではなく、毎月同じ形で数字がそろうことです。
ステップ | やること |
|---|---|
1. 指標を決める | 4層+費用対効果から10指標前後を選ぶ |
2. 定義を決める | リード・商談・受注を「何が起きたら1件か」1行で書く |
3. 列をそろえる | 目標・今月・前月・前月比・達成率を横に並べる |
4. 数式を入れる | CVR・商談化率・受注率・CPA・ROIは自動計算にする |
5. コメント欄を作る | 今月の結論・課題と原因・来月やることを1行ずつ書く |
12か月分の推移を並べる必要はありません。経営者が毎月の判断に使うなら、「目標・今月・前月」の3列で足ります。年間の推移は、四半期ごとの振り返りで別に見れば十分です。
数字をそろえるための運用ルール
ダッシュボードが続かない原因の多くは、数字を集める手間です。次の3つを決めておくと、毎月の更新が30分ほどで終わります。
ルール | 決めること |
|---|---|
締め日 | 月末締め、翌月第3営業日までに更新するなど、日付を固定する |
担当 | Webの数字はマーケ担当(または代行会社)、商談・受注は営業が入れる |
報告の場 | 月1回30分、経営者・営業・マーケ担当で数字とコメントを確認する |
代行会社に依頼している場合は、このテンプレートの形でレポートを出してほしいと最初に伝えておくと、会社ごとに形式が違って比べられない、という事態を防げます。
月次レポートのテンプレート
ここまでの内容を、Excelのテンプレートにまとめました。黄色のセルに目標と実績を入れると、割合や費用対効果の指標が自動で計算されます。
シート | 中身 | 主な数式 |
|---|---|---|
使い方 | 目的、記入手順、注意点 | なし |
月次ダッシュボード | 4層+費用対効果の指標を、目標・今月・前月で比較。コメント欄つき | 前月比=今月÷前月、達成率=今月÷目標、CVR・商談化率・受注率・CPA・商談単価・ROI |
施策別費用対効果 | 施策ごとの費用・リード数・商談数・受注数・受注金額 | 施策別のCPA・商談単価・ROIと合計 |

「施策別費用対効果」のシートでは、リスティング広告・記事制作・展示会などの施策ごとにROIを並べます。記入例では、展示会のROIがマイナスになっています。展示会は受注まで時間がかかるため、この数字だけでやめる判断をせず、四半期で見直すという使い方をします。
記事内のテンプレート(Excel)は無料でお渡ししています。ご希望の方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
レポートで経営者が確認すべき5つの質問
レポートを受け取ったら、次の5つの質問に答えられるかを確認してください。答えがレポートに書かれていなければ、担当者や代行会社に聞きます。
質問 | 確認すること | 見る指標 |
|---|---|---|
Q1. 目標に対してどうだったか | 受注・商談は目標の何%か。前月より良いか悪いか | 達成率、前月比 |
Q2. どこで詰まっているか | 4つの層のうち、一番弱い段階はどこか | CVR、商談化率、受注率 |
Q3. 何に時間と費用を使ったか | 施策ごとの費用と稼働時間の内訳は見えているか | 施策別の費用、稼働時間 |
Q4. 続ける理由は何か | 費用対効果が悪い施策を、来月も続ける根拠は何か | 施策別のCPA・ROI |
Q5. 来月は何を1つ変えるか | 改善策を1つに絞り、担当と期限が決まっているか | コメント欄 |

Q1・Q2:結果と詰まりを確かめる
最初に見るのは、受注と商談の達成率です。目標に届いていなければ、4つの層の割合を上から順に見て、一番大きく下がっている段階を探します。原因の場所が1つに絞れれば、打つ手も1つに絞れます。
Q3:何に時間と費用を使ったかが見えるか
見落とされやすいのが、この質問です。外部に依頼している場合、「今月は何に何時間使ったのか」が見えないと、費用が妥当かどうか判断できません。マーケティング代行を選ぶときも、成果の数字と並んで「稼働の内訳を開示してくれるか」は重要な基準になります。
Q4・Q5:やめる施策と変える施策を決める
費用対効果が悪い施策は、続ける理由を説明してもらいます。「効果が出るまで時間がかかる」という理由なら、いつまでに何の数字が出れば続けるのか、期限を決めておきます。最後に、来月変えることを1つだけ決めます。改善策がいくつも並ぶレポートは、結局どれも実行されないことが多いためです。
よくある質問
マーケティングレポートは月に何回もらえばいいですか?
経営者が判断に使うレポートは、月1回で十分です。商談やリードの動きを早くつかみたい場合は、担当者と週1回15分ほど、数字だけを確認する時間を別に設けると効果的です。
マーケティングダッシュボードに専用ツールは必要ですか?
中小企業であれば、ExcelやGoogleスプレッドシートで十分です。指標が10前後で、月1回の更新なら、手入力でも30分ほどで済みます。ツールの導入は、指標や施策が増えて手入力が負担になってから検討してください。
マーケティングROIの目安はどのくらいですか?
業種・商材・粗利率・施策によって大きく変わるため、一律の目安はありません。まずは自社の数字で毎月計算し、施策どうしを比べたり、四半期ごとの推移を見たりする使い方をおすすめします。少なくとも、粗利ベースでマイナスが続いている施策は、続ける理由を確認すべきです。
Webからの問い合わせが、受注したかどうかが分かりません。
マーケティングと営業で、同じ顧客リストを使うことから始めてください。問い合わせを受けた時点で流入元(検索、広告、展示会など)を記録し、商談・受注の欄を営業が埋めるだけで、施策ごとの成果が追えるようになります。最初はスプレッドシート1枚でかまいません。
代行会社のレポートに商談や受注の数字が載っていません。
代行会社は、自社の営業の結果を知らないことが多いため、商談・受注の数字は社内から共有する必要があります。共有したうえで、4層の数字をそろえたレポートを作ってほしいと依頼してください。商談や受注の数字を見ようとしない代行会社は、成果への関心が弱い可能性があります。
まとめ
マーケティングレポートは、経営者が「続けるか・何を変えるか」を判断するための資料
見るのは集客・リード・商談・受注の4層+費用対効果の10指標前後。数より割合の変化に注目する
ROIは「(受注金額×粗利率−費用)÷費用」で、粗利ベース・四半期単位で判断する
ダッシュボードはスプレッドシートで十分。目標・今月・前月を並べ、5つの質問に答えられる形にする
レポートを読み解く時間がないなら「JIMOTOの外付けマーケチーム」
当社のマーケティング代行「JIMOTOの外付けマーケチーム」は、施策の実行だけでなく、商談・受注までつなげた月次レポートの作成と、来月の打ち手の提案までを専門チームで行います。何に時間と費用を使ったかが、毎週見える形でお渡しします。
集客から受注までの4層と費用対効果をそろえたレポートを毎月作成
稼働を15分単位で記録して毎週開示。使い切らなかった分は翌月に繰り越し
月額30万円から(税別)。内製化までを見据えた支援
→ 料金プランや支援内容を見る(マーケティング代行サービスページ)
記事監修
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau
代表取締役 鶴 智之(プロフィール)
キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。前職では株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも携わる。200社以上のマーケティング支援実績と、多数の自治体案件のPM経験を持つ。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに、地域企業の成長を支援している。
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