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KPIツリーの作り方|BtoB中小企業の例とテンプレート、週次のKPI管理まで|JIMOTO STUDY

この記事の筆者
中井 寛太
株式会社JIMOTO Marketing Share BureauでマーケティングやPRを担当。Web系の広告代理店で、ブランディングマネージャーとして活動した経験を活かし最新のトレンドやビジネス情報を執筆します。
「売上目標は決めているが、毎週なにを追えばいいのか分からない」「KPIを決めたものの、数字を見るだけで行動が変わらない」。専任のマーケターがいないBtoBの中小企業から、よくいただく相談です。
こうした悩みの多くは、売上目標と日々の行動がつながっていないことから起きます。そのつながりを1枚の図にしたものがKPIツリーです。
本記事では、200社以上の中小企業のマーケティングを支援してきた当社の経験をもとに、次のことを解説します。
KPIツリーの意味と、KGI・KPIの違い
「売上→受注→商談→リード→アクセス」に分解する作り方5ステップ
BtoBマーケティングのKPIツリーの例と、そのまま使えるテンプレート(Excel)
指標が多すぎる、行動に落ちないなど、よくある失敗と対策
週次・月次で見る指標と、KPI管理の運用のしかた
KPIツリーとは?
KPIツリーとは、最終的な目標(KGI)を、それを達成するために必要な中間の指標(KPI)に分解し、木の枝のようにつないだ図のことです。売上目標から逆算して「今週は何件のリードが必要か」まで落とし込むために使います。
KPIツリーがあると、目標に届かないときに「どこで詰まっているか」がすぐに分かります。リードが足りないのか、商談にならないのか、商談はあるのに受注できないのか。原因の場所が分かれば、打つ手も決まります。
KGI・KPI・行動KPIの違い
KPIツリーで使う指標は、大きく3つに分かれます。いちばん大切なのは、最後の「行動KPI」まで落とすことです。
種類 | 意味 | BtoBマーケティングでの例 |
|---|---|---|
KGI(重要目標達成指標) | 最終的に達成したい目標 | 新規顧客からの売上 月300万円 |
KPI(重要業績評価指標) | KGIに向かう途中の指標 | 受注数、商談数、リード数、アクセス数 |
行動KPI | 担当者が自分で増やせる行動の量 | 記事の公開本数、リードへの連絡数、休眠顧客への連絡数 |
受注数や商談数は、結果として決まる数字です。担当者が「今日増やそう」と思って直接増やせるのは、行動KPIだけです。KPIツリーが「見るだけの表」になってしまう会社は、たいていこの行動KPIがありません。
KPIツリーとマーケティングファネルの関係
BtoBのKPIツリーは、見込み客が「サイトを見る→問い合わせる→商談する→受注する」と進む流れに沿って作ると分かりやすくなります。この流れはマーケティングファネルと呼ばれます。ファネルの各段階の数と、次の段階に進む割合(転換率)をそのままKPIツリーに置くと考えてください。
BtoBマーケティングのKPIツリーの例
結論から言うと、中小BtoB企業のKPIツリーは「売上÷単価=受注数」「受注数÷受注率=商談数」と、上から順に割り算するだけで作れます。以下は、月の新規売上目標を300万円とした場合の例です。数字はすべて説明のための例示で、実際の転換率は業種や商材によって大きく変わります。
階層 | 指標 | 計算 | 月間 | 週間 |
|---|---|---|---|---|
KGI | 新規売上 | 経営計画から決める | 300万円 | 75万円 |
KPI | 受注数 | 300万円 ÷ 平均単価100万円 | 3件 | 0.75件 |
KPI | 商談数 | 3件 ÷ 受注率30% | 10件 | 2.5件 |
KPI | リード数 | 10件 ÷ 商談化率25% | 40件 | 10件 |
KPI | アクセス数 | 40件 ÷ CVR1.0% | 4,000セッション | 1,000セッション |

この例では、毎週「リード10件・商談2.5件」が追うべき数字になります。月末に「今月は売上が足りなかった」と気づくのではなく、毎週の段階で「リードは足りているが商談が少ない」と分かるのがKPIツリーの価値です。
リード数はさらに「チャネル別」に分ける
リード数40件は、どこから集めるかでやることが変わります。リードの段階だけは、チャネル別にもう一段分けておくと行動に落としやすくなります。
チャネル | 月間リードの例 | 行動KPIの例 |
|---|---|---|
Webサイトの問い合わせ・資料請求 | 20件 | 記事を月4本公開、資料を四半期に1本追加 |
展示会・セミナー | 12件 | 名刺獲得後2営業日以内に全員へ連絡 |
紹介・既存顧客 | 5件 | 既存顧客への近況連絡を月10件 |
休眠顧客・過去の失注 | 3件 | 過去の商談先への連絡を月10件 |
チャネル別の内訳も例示です。自社でリードがどこから来ているかを、まず過去3〜6か月分数えてみてください。
KPIツリーの作り方5ステップ
KPIツリーは、次の5ステップで作れます。最初から完璧を目指す必要はありません。仮の数字で作り、3か月ほど回してから直すほうが早く使えるものになります。
ステップ | やること | ポイント |
|---|---|---|
1. KGIを決める | 新規売上の目標を月単位にする | 既存顧客の売上とは分けて考える |
2. 分解の式を決める | 売上=受注数×単価、受注数=商談数×受注率と並べる | 足し算ではなく掛け算でつなぐ |
3. 転換率を入れる | 受注率・商談化率・CVRを過去実績から入れる | 実績がなければ仮の数字で始める |
4. 行動KPIに落とす | 「誰が・何を・週に何回」を決める | 担当者と一緒に決める |
5. 週次で記録する | 毎週同じ曜日に実績を入れて振り返る | 詰まっている指標を1つだけ選ぶ |

ステップ1:KGIを「新規売上・月いくら」まで具体化する
「売上を伸ばす」では、分解ができません。年間の売上目標から既存顧客の売上見込みを引き、マーケティングと営業で新しく作る売上がいくら必要かを出します。それを12で割り、月の目標にします。季節による波が大きい業種は、月ごとに目標を変えてもかまいません。
ステップ2:売上を掛け算の式に分解する
BtoBの基本の式は「売上=アクセス数×CVR×商談化率×受注率×平均単価」です。掛け算でつなぐと、どの指標が何%変わると売上がいくら変わるかが計算できます。「リード数」「商談数」のような指標を思いつくまま並べるだけでは、ツリーになりません。
ステップ3:転換率は過去の実績から入れる
受注率・商談化率・CVRは、過去6〜12か月の実績から計算します。たとえば、過去1年の商談が40件で受注が12件なら、受注率は30%です。記録がない場合は、営業担当の感覚で仮の数字を置き、記録を取り始めてください。3か月分たまれば、かなり実態に近い数字になります。
ステップ4:行動KPIに落とす
中間のKPIが決まったら、それを増やすための行動を決めます。行動KPIは「誰が・何を・週に何回」まで書くのがポイントです。「SEOを強化する」では行動になりませんが、「Aさんが記事を週1本公開する」なら、できたかどうかが毎週分かります。
ステップ5:週次で記録し、詰まりを1つ選ぶ
毎週決まった曜日に、先週の実績を記録します。目標に届いていない指標が複数あっても、手を打つのは最も上流で詰まっている1つに絞ります。たとえば、リードは足りているのに商談が少ないなら、新しい広告を始める前に、リードへの連絡の速さと内容を見直します。
そのまま使えるKPIツリーのテンプレート
ここまでの考え方を、Excelのテンプレートにまとめました。黄色のセルに売上目標と転換率を入れるだけで、必要な受注数・商談数・リード数・アクセス数が自動で計算されます。テンプレートは次の3つのシートで構成しています。
シート | 中身 | 入力する項目 |
|---|---|---|
使い方 | 目的、記入手順、注意点 | なし |
KPIツリー | 売上目標からの逆算と行動KPI | 新規売上目標、平均受注単価、受注率、商談化率、CVR、行動KPIの回数 |
週次管理表 | 週ごとの目標・実績・達成率・判定と振り返り | 第1週〜第4週の実績、振り返りメモ |
「KPIツリー」シートでは、必要受注数=売上目標÷平均受注単価、必要商談数=受注数÷受注率、必要リード数=商談数÷商談化率、必要アクセス数=リード数÷CVRの数式が入っています。週間の目標は、月間を4で割って計算しています。

「週次管理表」では、実績を入れた週の数だけ目標を積み上げ、達成率を出します。達成率100%以上は「達成」、80%以上は「注意」、80%未満は「要対策」と自動で表示されるため、会議ではまず「要対策」の指標から話し始められます。
記事内のテンプレート(Excel)は無料でお渡ししています。ご希望の方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
KPIツリーでよくある失敗と対策
KPIツリーは、作ることより使い続けることのほうが難しい道具です。当社の支援現場でよく見る失敗は、次の5つです。
よくある失敗 | 起きること | 対策 |
|---|---|---|
指標が多すぎる | 毎週の記録が負担になり、1〜2か月で止まる | KGI1つ、中間KPI4つ、行動KPI3つ前後に絞る |
行動に落ちていない | 数字を見ても、誰も何をすればいいか分からない | 「誰が・何を・週に何回」まで決める |
転換率が願望になっている | 最初から達成できない目標になり、形だけになる | 過去の実績から入れ、3か月ごとに見直す |
マーケと営業で定義が違う | 「商談」の数え方が人によって違い、数字が比べられない | リード・商談・受注の定義を1行ずつ文章にする |
月に1回しか見ない | 気づいたときには、その月の挽回が間に合わない | 先行指標(リード・商談)は週次で見る |
特に多いのは「指標が多すぎる」失敗
アクセス解析や営業支援ツールを入れると、見られる数字はいくらでも増えます。直帰率、滞在時間、メール開封率、SNSのフォロワー数など、気になる数字をすべてツリーに入れると、毎週の記録だけで手一杯になります。KPIツリーに置くのは、売上の掛け算の式に入る指標と、それを動かす行動だけで十分です。それ以外の数字は、詰まりの原因を調べるときに見れば足ります。
「商談」の定義は必ず文章にする
マーケティング担当は「問い合わせから打ち合わせが決まったら商談」と数え、営業は「見積もりを出したら商談」と数えている。こうしたずれは、中小企業でもよく起きます。リード・商談・受注のそれぞれについて「何が起きたら1件と数えるか」を1行で書き、テンプレートの使い方シートなどに残しておきます。
KPI管理の運用|週次・月次で見る指標
KPI管理では、指標ごとに「見る頻度」を変えるのがコツです。すぐに動く先行指標は週次で、結果として決まる指標と転換率は月次で見ます。
頻度 | 見る指標 | 確認すること | 時間の目安 |
|---|---|---|---|
週次 | 行動KPI、アクセス数、リード数、商談数 | 今週の行動ができたか、目標に対して遅れている指標はどれか | 15〜30分 |
月次 | 受注数、受注金額、各転換率、チャネル別のリード数 | どの段階で詰まっているか、来月の重点を1つ決める | 60分 |
四半期 | KGIの進み具合、平均単価、転換率の前提 | KPIツリーの前提の数字を実績に合わせて直す | 半日 |
週次ミーティングの進め方
週次ミーティングは、15〜30分で終わる形にしておくと続きます。当社の支援先では、次の順番で進めることが多いです。
週次管理表で「要対策」の指標を確認する(5分)
先週決めた行動ができたかを確認する(5分)
詰まっている指標の原因を1つに絞って話す(10分)
来週やることを、担当と期限つきで1〜3個決める(5分)
大切なのは、ミーティングを「数字の報告会」にしないことです。数字は事前に週次管理表に入れておき、会議の時間は「来週なにをするか」を決めることに使います。
月次では転換率を見直す
月に1回は、受注率・商談化率・CVRが前提どおりになっているかを確認します。たとえば商談化率が前提の25%を大きく下回っているなら、リードの質か、リードへのフォローに問題があります。転換率は売上への影響が大きいため、リードの数を増やすより先に手を打つべき場合も少なくありません。
KPI管理の仕組みを作っても、社内に記録と振り返りを回す人がいなければ続きません。担当者がほかの業務と兼務している場合は、週次の記録やレポートづくりをマーケティング代行に任せ、社内では判断だけを行う分担も選択肢になります。
よくある質問
KPIツリーはExcelとスプレッドシート、どちらで作ればいいですか?
社内で使い慣れているほうで問題ありません。複数人で毎週記録するなら、同時に編集できるGoogleスプレッドシートが便利です。本記事のExcelテンプレートも、スプレッドシートに読み込んで使えます。
過去の実績データがなく、転換率が分かりません。どうすればいいですか?
営業担当の感覚で仮の数字を置いて始めてください。たとえば「商談10件のうち3件くらいは決まる」なら受注率30%です。そのうえで今月から記録を取り始め、3か月後に実績の数字へ置き換えます。記録がないまま正確な数字を探すより、早く回し始めるほうが大切です。
KPIはいくつくらいに絞ればいいですか?
中小企業では、KGI1つ、中間KPI4つ(受注・商談・リード・アクセス)、行動KPI3つ前後が目安です。毎週の記録が15分以内で終わる量に収めると、運用が止まりにくくなります。
KPIの目標に届かないとき、何から手をつければいいですか?
KPIツリーの上流(売上に近いほう)から順に、転換率が前提どおりかを確認します。商談はあるのに受注率が低いなら提案内容、リードはあるのに商談化率が低いならフォローの速さと内容を見直します。リードやアクセスを増やす施策は、転換率に問題がないことを確かめてから打つほうが、費用のむだが少なくなります。
既存顧客からの売上もKPIツリーに入れるべきですか?
新規と既存は、ツリーを分けることをおすすめします。既存顧客の売上は「顧客数×継続率×顧客単価」のように、新規とは式が違うためです。まずは新規のツリーを作り、運用が安定してから既存のツリーを追加してください。
まとめ
KPIツリーは、売上目標(KGI)を受注・商談・リード・アクセスに分解し、週ごとに追う数字を決めるための図
「売上÷単価=受注数」「受注数÷受注率=商談数」と、上から順に割り算すれば作れる
指標は絞り込み、最後は「誰が・何を・週に何回」の行動KPIまで落とす
先行指標は週次、転換率と受注は月次で見て、詰まっている指標を1つずつ直す
KPI管理に手が回らないなら「JIMOTOの外付けマーケチーム」
当社のマーケティング代行「JIMOTOの外付けマーケチーム」は、KPIツリーの設計から、週次の数字の記録、施策の実行と振り返りまでを専門チームでまとめて引き受けます。社内には判断に必要な数字だけが届く形を作ります。
売上目標からの逆算と、自社に合った行動KPIの設計
稼働を15分単位で記録して毎週開示。使い切らなかった分は翌月に繰り越し
月額30万円から(税別)。内製化までを見据えた支援
→ 料金プランや支援内容を見る(マーケティング代行サービスページ)
記事監修
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau
代表取締役 鶴 智之(プロフィール)
キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。前職では株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも携わる。200社以上のマーケティング支援実績と、多数の自治体案件のPM経験を持つ。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに、地域企業の成長を支援している。
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