公開日:
更新日:
中小企業のマーケティングとは?よくある課題と小さく勝つ戦略の立て方|JIMOTO STUDY

この記事の筆者
中井 寛太
株式会社JIMOTO Marketing Share BureauでマーケティングやPRを担当。Web系の広告代理店で、ブランディングマネージャーとして活動した経験を活かし最新のトレンドやビジネス情報を執筆します。
「マーケティングは大企業がやるもの」
「うちは紹介と営業で回っているから必要ない」。
中小企業の経営者から、よく聞く言葉です。
しかし紹介も営業も、実は立派なマーケティングです。問題は、それが社長やベテラン営業の「個人の勘」に頼っていること。紹介が途切れたり、担当者が辞めたりしたとたん、売上が止まります。
中小企業のマーケティングは、大企業のように広告費をかけるものではありません。「誰に、何を、どうやって」を決め、その勘を会社の仕組みに変えることです。
この記事では、次の順番で解説します。
中小企業にとってのマーケティングとは何か、大企業と何が違うか
中小企業がぶつかる3つの課題とその対策
「誰に・何を・どうやって」で決めるマーケティング戦略
自社に合う施策の選び方と、予算の決め方
読み終えるころには、自社が最初に何を決め、何から始めればよいかが見えているはずです。
中小企業のマーケティングとは?「選ばれる理由」をつくり、届け、続けてもらう活動
中小企業のマーケティングとは、自社が「選ばれる理由」をはっきりさせ、それを必要な人に届け、一度買った人に続けてもらうための活動全体です。広告やSNSはその一部にすぎません。
流れは、次の4つの段階がぐるぐる回る形で考えると整理しやすくなります。
知ってもらう:チラシ、検索、SNS、展示会、紹介などで、自社の存在を届ける
選んでもらう:ホームページや営業資料で、競合ではなく自社を選ぶ理由を伝える
買ってもらう:問い合わせや来店から、商談・購入までを迷わせずに進める
続けてもらう:アフターフォローや定期的な連絡で、リピートと紹介につなげる
4つめの「続けてもらう」がうまく回ると、紹介や口コミが生まれ、1つめの「知ってもらう」に戻ります。広告費をかけられない中小企業ほど、この循環を太くすることが成長の近道です。

「営業」や「広告」との違い
営業は「目の前の1人に売る」活動、広告は「知ってもらう」ための手段の1つです。マーケティングはその手前で、「誰に売るか」「なぜ自社か」を決め、営業や広告が効く状態をつくります。
大企業と同じやり方では勝てない。中小企業は「狭く・深く」で勝つ
中小企業が大企業のマーケティングをまねしても、予算と人数で負けます。勝ち筋は「狭い市場で、深い関係をつくる」ことです。
大企業は、テレビCMや全国規模の広告で「広く、大勢に」知ってもらう戦い方ができます。一方で、意思決定に時間がかかり、小さな市場や細かな要望には対応しにくい面があります。
中小企業には、大企業にない強みが3つあります。
地域・専門に絞れる:「市内の水回りリフォーム」「食品工場向けの部品加工」のように、狭い市場で一番になれる
決めるのが速い:社長がその場で決め、翌週には試せる
顔が見える:社長や職人の人柄そのものが、信頼と差別化の材料になる
つまり中小企業のマーケティング戦略は、ターゲットを狭く決め、その人たちに深く刺さることから始まります。「誰にでも合う」は、中小企業にとっては「誰にも刺さらない」と同じです。

中小企業のマーケティング課題は「人・お金・仕組み」の3つ
中小企業のマーケティング課題は、ほとんどが「人がいない」「お金がない」「仕組みがない」の3つに集約されます。それぞれに、予算を増やさずにできる対策があります。
課題1:担当者がいない、兼務で手が回らない
社長や営業、事務の担当者が、本業の合間にマーケティングを引き受けているケースが大半です。専門の人材を採用しようにも、人材不足でなかなか見つかりません。
対策:やることを「週に何時間」で決め、その時間で回る施策だけに絞ります。専門的な作業は、外部に任せる選択肢もあります。
課題2:予算が少なく、何に使えばよいかわからない
広告に使えるお金は限られています。そのため「とりあえず安いもの」を少しずつ試し、どれも中途半端に終わりがちです。
対策:予算は「1件の契約にいくら払えるか」から逆算し、方法を1〜2つに集中させます。詳しくは後半の予算の章で解説します。
課題3:続かない・効果が測れない
思いついた施策を始めては止めるのくり返しで、何が売上に効いたのかがわからない。その結果、社内で「マーケティングは効果がない」という空気になります。
対策:問い合わせのたびに「何で知りましたか?」を聞き、記録するだけでも分析は始められます。特別なツールはいりません。表計算ソフトで1行ずつ書き留め、月に1回見返します。

マーケティング戦略は「誰に・何を・どうやって」の3つの問いで決まる
中小企業のマーケティング戦略は、難しいフレームワークよりも「誰に」「何を」「どうやって」の3つの問いに答えるだけで十分です。順番を入れ替えず、上から決めるのがポイントです。
1. 誰に:一番喜んでくれたお客様を思い浮かべる
ターゲットは、新しく考えるよりも、これまでのお客様から選ぶのが確実です。「利益が大きかった」「喜んで紹介してくれた」お客様を3〜5社(人)書き出し、業種・地域・年代・困りごとの共通点を探します。
2. 何を:競合ではなく自社を選ぶ理由
そのお客様に「なぜうちを選んだのか」を直接聞いてみてください。「対応が早い」「小ロットでも引き受けてくれる」など、社内では当たり前と思っていることが、強みであることはよくあります。
ここでは、「顧客が求めていること」「競合がやっていないこと」「自社ができること」の3つが重なる部分を探します。この重なりが、差別化の軸になります。
3. どうやって:そのお客様がいる場所で伝える
最後に、伝え方(施策)を選びます。ターゲットが普段どうやって情報を探すかを考えると、施策は自然に絞れます。地元の高齢の方ならチラシや地域情報誌、工場の購買担当者なら検索と展示会、といった具合です。
3つの答えは、A4用紙1枚にまとめておきましょう。社内や外部のパートナーと方針をそろえる、一番安上がりな道具になります。

最初に力を入れるのは新規より「既存顧客」
予算も人も限られるなら、最初に手をつけるのは新規獲得ではなく、すでに取引のあるお客様です。内側の円から外側へ、順番に広げていきます。
既存顧客:すでに信頼関係があり、追加の注文や更新につながりやすい
紹介・口コミ:既存顧客が満足すると、似たお客様を連れてきてくれる
過去の見込み客:見積もりや問い合わせだけで止まった人に、もう一度声をかける
新規顧客:広告やSEO、チラシなどで、まだ自社を知らない人に届ける
内側ほどお金がかからず、成果が早く出ます。たとえば、納品の1か月後に「その後いかがですか」と電話・メールする。年に2回、お知らせのハガキやLINEを送る。これだけでも、リピートと紹介のきっかけになります。
既存顧客と話すなかで、前の章の「誰に」「何を」の答えも確かめられます。そこで得たお客様の声は、新規向けのホームページやチラシにそのまま使えます。

施策は「誰に売るか(BtoB/BtoC)×商圏」で選ぶ
どの施策が合うかは、「お客様が企業か個人か」と「商圏が地域か広域か」の2つでおおよそ決まります。Webだけでなく、チラシや展示会などのオフライン施策も候補に入れて考えます。

地域×個人(飲食店、美容室、リフォーム、工務店など)
Googleビジネスプロフィール(地図検索)、チラシ・ポスティング、LINE公式アカウント、Instagramが中心です。「地域名+業種」で探す人に見つけてもらうことを優先します。
地域×企業(地元の建設・設備、印刷、士業など)
紹介、商工会議所や業界団体での交流、既存取引先へのDMが効きやすい領域です。ホームページは、紹介された人が「確かめる場所」として、実績と施工事例を充実させます。
広域×個人(通販、オンライン講座など)
SNS、SEO(ブログ記事)、Web広告、メールマガジンが中心です。競合が多いため、「誰に」を狭くして発信内容を尖らせることが特に大切です。
広域×企業(部品メーカー、業務システム、専門サービスなど)
SEO、展示会、資料ダウンロード、ウェビナーが定番です。検討期間が長いため、問い合わせ後に営業がフォローする流れもあわせて設計します。
どの場合も、最初は2つまでに絞ります。全部を同時に始めると、どれも続かずに終わります。
予算は「1件の契約にいくら払えるか」から逆算する
マーケティング予算は、「売上の何%」という一般論より、「1件の契約を取るためにいくらまで払えるか」から決めると失敗しにくくなります。自社の粗利が基準になるため、赤字の施策を続ける心配がありません。
計算の手順3つ
1件あたりの粗利を出す:売上から原価を引いた金額。リピートが多い商売なら、平均で何回買ってくれるかも掛け合わせる
そのうち何割を獲得に使うか決める:これが「1件の獲得に払える上限」
月の目標件数を掛ける:これが月のマーケティング予算の目安
計算例
1件の粗利が10万円の会社で、その3割を獲得に使うと決めた場合、1件に払える上限は3万円です。月に5件の新規契約を目指すなら、月の予算の目安は15万円になります。
この上限を決めておくと、「広告で問い合わせ1件に5万円かかっているので見直す」「チラシは1件あたり1万円で取れているので増やす」といった判断が、数字でできるようになります。
※数字は考え方を示すための例です。粗利の何割を使えるかは、業種やリピート率によって変わります。

成果が出る会社は「1枚の計画」と「月1回の振り返り」を続けている
マーケティングで成果が出る中小企業と出ない中小企業の差は、施策の良し悪しより「続け方」にあります。特別な知識やツールより、次の2つを習慣にすることが大切です。
1枚の計画に書くこと
誰に・何を・どうやって(3つの問いの答え)
半年後の目標(例:新規の問い合わせを月○件)
やる施策(最大2つ)と、担当者・週の作業時間
月の予算と、1件に払える上限
月1回の振り返りで見ること
毎月30分で構いません。「問い合わせは何件か」「どこで知った人が多いか」「1件あたりいくらかかったか」の3つを確認し、効いている施策に力を寄せます。
このとき、SEOやSNSのように積み上げ型の施策は、成果が見え始めるまで3〜6か月ほどかかるのが一般的です。始める前に「いつ判断するか」を決めておき、早すぎる打ち切りを防ぎましょう。
振り返りを社長・担当者・外部パートナーで一緒に行うと、ノウハウが社内にたまり、「個人の勘」が「会社の仕組み」に変わっていきます。

よくある質問
Q. 中小企業にマーケティングは必要ですか?
必要です。紹介や営業だけで売上が立っている会社も、それが特定の人に頼っていると、その人が抜けたときに売上が止まります。「誰に・何を・どうやって」を決めて仕組みにすることが、安定した成長につながります。
Q. 中小企業のマーケティング予算はいくらが目安ですか?
「1件の粗利」×「獲得に使う割合」×「月の目標件数」で逆算するのがおすすめです。たとえば粗利10万円・3割・月5件なら、月の目安は15万円です。
Q. 何から始めればよいですか?
まず既存顧客に「なぜうちを選んだか」を聞き、「誰に」「何を」を決めることからです。そのうえで、自社のお客様がいる場所に合わせて施策を1〜2つ選びます。
Q. 専任の担当者がいなくても取り組めますか?
取り組めます。週に使える時間を先に決め、その時間で回る施策に絞ります。戦略づくりや専門的な作業だけを外部に任せる方法もあります。
Q. 成果が出るまでどれくらいかかりますか?
既存顧客へのフォローやWeb広告は、数週間〜1か月ほどで反応が見えることがあります。SEOやSNSは、成果が見え始めるまで3〜6か月ほどかかるのが一般的です。
まとめ:中小企業のマーケティングは「狭く決めて、小さく始め、続ける」
中小企業のマーケティングは、大きな予算がなくても始められます。ポイントを振り返ります。
マーケティングは「知ってもらう→選んでもらう→買ってもらう→続けてもらう」の循環をつくる活動
大企業と同じ土俵に乗らず、「狭く・深く」で勝つ
課題は「人・お金・仕組み」。時間と予算の上限を先に決めて絞り込む
戦略は「誰に・何を・どうやって」の順に決め、既存顧客から手をつける
施策は「BtoB/BtoC×商圏」で選び、予算は1件あたりの粗利から逆算する
1枚の計画と月1回の振り返りで、勘を仕組みに変える
(株)JIMOTO Marketing Share Bureauのマーケティング支援
(株)JIMOTO Marketing Share Bureauは、中小企業のマーケティングを、戦略づくりから施策の実行・振り返りまで支援しています。
「うちの『誰に・何を』がまだ曖昧」という段階でも構いません。無料相談で、御社のお客様と強みを一緒に整理します。
[無料相談はこちら]https://www.jimoto-marketing-sb.com/contact

記事監修
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau
代表取締役 鶴 智之(プロフィール)
キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。前職では株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも携わる。200社以上のマーケティング支援実績と、多数の自治体案件のPM経験を持つ。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに、地域企業の成長を支援している。
おすすめ記事
この記事を読んだ方は以下の記事も読んでます!





