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マーケティング内製化の進め方|外注から段階的に移す手順とロードマップ

この記事の筆者
中井 寛太
株式会社JIMOTO Marketing Share BureauでマーケティングやPRを担当。Web系の広告代理店で、ブランディングマネージャーとして活動した経験を活かし最新のトレンドやビジネス情報を執筆します。
「マーケティングを外注して数年。成果は出ているが、社内には何も残っていない気がする」「いずれは自社で回したいが、何から手をつければいいか分からない」。外部の支援を受けている中小企業から、よくいただく相談です。
マーケティングの内製化は、外注をやめることではありません。判断と顧客理解を社内に取り戻し、専門的な作業は必要に応じて外部を使う。そのバランスを、段階を踏んでつくっていくことです。
本記事では、200社以上の中小企業のマーケティングを支援してきた当社の経験をもとに、次のことを解説します。
マーケティング内製化のメリット・デメリット
社内に残す業務と、外部に任せてよい業務の分け方
外部主導から自走までの4つの段階と、各段階の目安
外部パートナーに契約時から頼んでおくべきこと
社内担当者の選び方・育て方と、よくある失敗
マーケティングの内製化とは?
マーケティングの内製化とは、外部の会社に任せているマーケティング業務を、社内の人材で回せるようにしていくことです。「インハウス化」と呼ばれることもあり、意味はほぼ同じです。
ここで大事なのは、内製化のゴールは「外注ゼロ」ではないという点です。従業員10〜100名の会社が、広告運用・記事制作・デザイン・分析のすべてに詳しい人をそろえるのは現実的ではありません。目指すのは、「何をやるか」を社内で決められ、「どうやるか」の一部を外部に頼んでも会社にノウハウが残る状態です。
外注に頼りきりだと何が困るのか
外注そのものは悪いことではありません。困るのは、契約が終わった瞬間に何も残らない状態です。マーケティング代行を選ぶ基準の一つに「撤退コスト」があります。契約をやめたとき、手順書・データ・ツールの管理権限が社内に残るかどうかです。これが残らない設計のまま外注を続けると、支援会社を変えるたびに一からやり直しになります。
マーケティング内製化のメリット・デメリット
結論として、内製化の最大のメリットは「判断の速さ」と「ノウハウの蓄積」です。一方で、人を育てる時間と、担当者が辞めたときのリスクは避けられません。
項目 | メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|---|
スピード | 社内で判断でき、施策をすぐに変えられる | 担当者の手が空かないと止まる |
ノウハウ | うまくいった理由・失敗した理由が社内に残る | 育つまで半年〜1年はかかる |
顧客理解 | 営業や現場の声を、すぐに施策に反映できる | 社内の思い込みに偏りやすい |
費用 | 長い目で見ると外注費を減らせることがある | 人件費・教育費・ツール費は社内の負担になる |
専門性 | 自社の商品に特化した知見が深まる | 新しい手法や他社の事例が入りにくい |
継続性 | 外部の都合に左右されにくい | 担当者の退職で一気に止まるおそれ |
デメリットの多くは、「全部を社内でやろうとする」ことから生まれます。次の章で説明するように、社内に残す業務と外部に任せる業務を分けて考えると、デメリットはかなり小さくできます。
そもそも社員を採用して育てるか、外注を続けるかで迷っている場合は、マーケター採用と外注の比較の記事も参考にしてください。
全部を内製しなくていい|社内に残す業務・外部に任せる業務
内製化の基本は、「判断」と「顧客理解」に関わる業務を社内に残し、専門性の高い作業は外部に任せることです。先に社内へ移すべきなのは、作業ではなく判断のほうです。
業務 | 社内/外部 | 理由 |
|---|---|---|
目標・KPIを決める | 社内 | 事業の方針そのもの。外部に決めてもらうものではない |
顧客の声を集める | 社内 | 営業や現場にしか集められない情報 |
商品・強みの言語化 | 社内 | 外部は手伝えるが、最後に決めるのは社内 |
施策の優先順位を決める | 社内 | 予算と人の使い方を決める判断 |
レポートを読み、次の手を判断する | 社内 | 数字の意味を理解できないと、外部の提案を評価できない |
メルマガ・サイトの軽い更新 | 社内 | 手順書があれば社内で回せ、スピードが上がる |
ツール・アカウントの所有 | 社内 | 撤退コストに直結する。最初から自社名義にする |
広告の運用・入札調整 | 外部 | 専門知識と日々の調整が必要 |
記事の執筆・編集、デザイン・動画 | 外部 | 社内は事例や数字を提供し、制作は外部に任せる |
アクセス解析の設定、サイトの大きな改修 | 外部 | 頻度が低く、社内で覚える費用対効果が低い |
新しい手法の試行、繁忙期の作業の上乗せ | 外部 | 必要なときだけ増やせるのが外部の強み |

この表はあくまで基本形です。社内に文章の得意な人がいれば記事制作を内製にしてもよく、広告費が少額なら運用を社内で覚えるのも選択肢です。自社の人材と業務量に合わせて、線引きを決めてください。
マーケティング内製化の4つの段階
内製化は、ある日突然切り替えるものではありません。当社では、外部主導から自走までを4つの段階に分けて進めています。期間は当社の支援現場での目安で、担当者が週に使える時間や業務の量によって前後します。
段階 | 期間の目安 | 社内の役割 | 外部の役割 | 次に進む条件 |
|---|---|---|---|---|
1. 外部主導 | 1〜3か月 | 目標と判断に参加し、定例に出る | 戦略・実行・報告のすべて | 目標と判断の理由を社内で説明できる |
2. 伴走 | 4〜6か月 | 手順書を見ながら一部の作業を担当 | 作業の見本を見せ、社内の作業をレビュー | 担当業務を手順書どおりに回せる |
3. 社内主導 | 7〜12か月 | 計画と実行の大半を担う | 専門作業と月1回の助言 | 外部の助言なしで翌月の計画を立てられる |
4. 自走 | 13か月目以降 | 計画・実行・振り返りを回す | 必要な専門作業だけをスポットで | - |

段階1:外部主導(まずは判断に参加する)
最初の数か月は、外部に実行を任せたままで構いません。社内でやるのは、目標を決める場に参加し、定例で「なぜこの施策をやるのか」を聞くことです。ここで判断の理由を理解しておくと、後の段階が格段に楽になります。
段階2:伴走(手順書を見ながら手を動かす)
メルマガ配信やサイトの軽い更新など、手順が決まっている作業から社内で担当します。外部は見本を見せ、社内がやった作業をチェックします。失敗しても外部がすぐに直せるため、担当者が安心して試せる期間です。
段階3:社内主導(外部は相談役に回る)
翌月の計画を社内で立て、外部はそれをレビューする形に変えます。広告運用や記事制作など専門作業は引き続き外部に任せながら、「何をやるか」は社内で決める状態をつくります。
段階4:自走(必要な作業だけを外部に頼む)
計画・実行・振り返りを社内で回せるようになったら、外部との契約を、必要な専門作業だけのスポット依頼や、小さなプランに切り替えます。完全に契約を切るかどうかは、この段階で決めれば十分です。
各段階は、期間ではなく「次に進む条件」を満たしたかどうかで判断します。条件を満たさないまま次に進むと、外部が抜けた途端に施策が止まります。
外部パートナーに契約時から頼むべきこと
内製化がうまくいくかどうかは、実は外部パートナーと契約する時点でほぼ決まります。契約後に「手順書を作ってほしい」「アカウントを移してほしい」と頼むと、追加費用や手間がかかることが多いためです。契約時に、次の4つを依頼しておきます。
頼むこと | 具体的な中身 | なぜ必要か |
|---|---|---|
手順書の作成 | 記事制作、メルマガ配信、サイト更新など、繰り返す作業の手順を文書にしてもらう | 社内で同じ作業を再現できるようにするため |
ツール・アカウントの権限 | 広告、アクセス解析、CMS、メール配信ツールを自社名義で作り、外部には権限を付与する | 契約終了時にデータと設定を失わないため |
定例での判断理由の共有 | 結果の数字だけでなく、「なぜこの施策を選び、何をやめたか」を毎回説明してもらう | 判断の仕方そのものを社内に移すため |
データと制作物の受け渡し | 顧客リスト、記事・画像・デザインの元データ、月次レポートを社内の保存場所に置く | 支援会社が変わっても積み上げを引き継ぐため |
この4つを嫌がる支援会社は、内製化のパートナーには向きません。支援会社の選び方全体は、マーケティング代行の費用相場と選び方で詳しく解説しています。
これから外部パートナーを選ぶ段階なら、依頼の時点で「引き継ぎ」を条件に入れておくと話が早く進みます。依頼書の書き方は「マーケティング代行の依頼書(RFP)の書き方」で、テンプレートつきで解説しています。
社内担当者の選び方と育て方
内製化の成否を最も左右するのは、社内の担当者です。結論として、マーケティングの経験よりも「顧客を知っていること」と「時間を確保できること」を優先して選びます。
担当者の選び方
見るポイント | 向いている人 |
|---|---|
顧客理解 | 営業やカスタマーサポートの経験があり、お客様の言葉を知っている |
数字への抵抗感 | Excelで簡単な集計ができ、数字の変化に興味を持てる |
書く力 | 社内向けでも、分かりやすい文章を書ける |
時間 | 週に最低5時間程度は、マーケティングに使える |
社内の信頼 | 営業や製造の部署に話を聞きに行ける関係がある |
専任の担当者を置けない場合は、兼務でも構いません。ただし、マーケティングに使う時間を「週◯時間」と決め、上司がそれを守らせることが前提です。兼務の担当者は、目の前の本業に時間を取られて、マーケティングが後回しになりがちだからです。
担当者の育て方
定例を学びの場にする:外部パートナーとの定例で、担当者が毎回「今月の所感」を一言話す。数字を読んで判断する練習になります。
小さな施策を任せる:メルマガ1本、記事1本の企画など、失敗しても影響の小さいものから任せます。
手順書を自分で更新させる:外部が作った手順書を、担当者が実際にやりながら書き直します。書き直した手順書が、社内の財産になります。
決裁者が月1回は関わる:社長や営業責任者が定例に出て、担当者の判断を後押しします。担当者が1人で抱え込むのを防げます。
社内に担当者を新たに採用する場合の費用感は、マーケター採用のコストの記事でまとめています。
マーケティング内製化でよくある失敗
内製化でつまずく会社には、共通するパターンがあります。どれも「急ぎすぎ」と「任せきり」から起きています。
失敗 | 起きること | 防ぎ方 |
|---|---|---|
いきなり外部との契約を切る | 引き継ぎがないまま施策が止まり、問い合わせが減る | 伴走の段階を必ず挟み、次に進む条件で判断する |
担当者1人に丸投げする | 相談相手がおらず、判断できずに止まる。最悪の場合は退職につながる | 決裁者が定例に出る。外部を相談役として残す |
担当者の時間を確保しない | 本業に追われ、マーケティングが後回しになる | 週◯時間と決め、業務分担を見直す |
ツールが外部名義のまま | 契約終了と同時にデータと設定を失う | 契約時に自社名義で作り、外部には権限を付与する |
全部を内製しようとする | 専門作業に時間を取られ、判断がおろそかになる | 判断と顧客理解を優先し、専門作業は外部に残す |
成果の物差しを決めない | 内製化がうまくいっているのか分からない | 問い合わせ数など、外注時と同じ指標で比べる |
そのまま使える内製化ロードマップ・引き継ぎチェックリスト(Excel)
ここまでの内容を、Excelのテンプレートにまとめました。シートは次の4つです。
シート | 中身 | 使い方 |
|---|---|---|
使い方 | 目的・記入手順・注意点 | 最初に一読する |
業務棚卸し | 業務・頻度・今の担当・内製/外部・移行時期・移行してよい条件 | 今の業務をすべて書き出し、どれを社内に移すか決める。内製と外部の業務数は自動で集計 |
段階別ロードマップ | 4つの段階ごとの期間の目安・社内と外部の役割・次に進む条件 | 今どの段階にいるかを外部パートナーと共有する |
引き継ぎチェックリスト | 手順書・アカウント権限・データ・レポートの項目、担当、期限、状態 | 定例のたびに状態を更新する。完了率は自動で計算 |

記事内のテンプレート(Excel)は無料でお渡ししています。ご希望の方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
よくある質問
マーケティングの内製化には、どれくらいの期間がかかりますか?
当社の支援現場での目安では、外部主導から社内主導まで7〜12か月、自走までは1年以上を見ておくと無理がありません。担当者が週に使える時間が少ない場合は、さらに長くなります。期間より、各段階の「次に進む条件」を満たしているかで判断してください。
内製化とインハウス化は違うものですか?
ほぼ同じ意味で使われています。広告運用の分野では「インハウス化」、マーケティング全体では「内製化」と呼ばれることが多い程度の違いです。
マーケティング経験のない社員でも担当者になれますか?
なれます。むしろ営業やサポートの経験があり、お客様の言葉を知っている人のほうが向いていることも多いです。専門的な作業は外部に任せ、まずは判断と顧客理解から担当してもらうと、経験がなくても始められます。
内製化を目指していることを、支援会社に伝えてもいいですか?
契約前に必ず伝えてください。内製化を前提にするかどうかで、手順書の作り方や定例の進め方が変わります。内製化を嫌がる支援会社であれば、その時点で別の会社を検討する判断材料になります。
内製化したら、外部との契約はゼロにすべきですか?
ゼロにする必要はありません。広告運用や制作など専門性の高い作業は、外部に任せたほうが効率的なことも多いです。社内で判断できる状態になっていれば、外部を必要な分だけ使い分けられます。
まとめ
マーケティングの内製化は「外注ゼロ」ではなく、判断と顧客理解を社内に取り戻すこと
外部主導→伴走→社内主導→自走の4段階で、期間ではなく「次に進む条件」で進める
手順書・ツールの権限・判断理由の共有・データの受け渡しは、契約時から外部に頼む
担当者は顧客を知っている人を選び、時間を確保し、1人に丸投げしない
内製化の進め方に手が回らないなら「JIMOTOの外付けマーケチーム」
当社のマーケティング代行「JIMOTOの外付けマーケチーム」は、最初から内製化を見据えて支援します。施策の実行だけでなく、手順書づくりや定例での判断理由の共有を通じて、社内にノウハウが残る形で進めます。
ツールやアカウントは自社名義で運用し、手順書とデータを社内に残す
稼働を15分単位で記録して毎週開示。使い切らなかった時間は翌月に繰り越し
月額30万円から(税別)。相談から稼働開始まで1か月未満
→ 料金プランや支援内容を見る(マーケティング代行サービスページ)
記事監修
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau
代表取締役 鶴 智之(プロフィール)
キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。前職では株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも携わる。200社以上のマーケティング支援実績と、多数の自治体案件のPM経験を持つ。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに、地域企業の成長を支援している。
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