公開日:
2026/8/22
更新日:
2026/8/22
マーケター採用と外注|3年で比較するとどちらが得か【コスト試算表つき】 |JIMOTO STUDY

この記事の筆者
中井 寛太
株式会社JIMOTO Marketing Share BureauでマーケティングやPRを担当。Web系の広告代理店で、ブランディングマネージャーとして活動した経験を活かし最新のトレンドやビジネス情報を執筆します。
「初年度だけ」で比べるから判断を誤る
マーケター採用の是非を検討するとき、多くの企業が初年度の支出だけを比べます。しかし採用は、初年度より2年目・3年目のほうが重くなる性質を持っています。昇給、賞与、社会保険料の事業主負担、教育コスト、そして離職リスクが累積するためです。
一方で外注は、初年度の支出こそ発生しますが、規模を変動させられます。この非対称性を無視した比較は、意思決定の材料になりません。
本記事では、公的統計をもとにした試算モデルを提示したうえで、採用が正解になる条件と外注が合理的になる条件の両方を示します。結論を先に述べると、どちらが優れているという話ではなく、事業のフェーズと予算規模で答えが変わります。
前提となる公的データ
試算に入る前に、判断の土台となる数字を確認します。
指標 | 数値 | 出典 |
|---|---|---|
Webマーケティング職の年収(全国) | 736.8万円 | 厚生労働省 job tag(令和7年賃金構造基本統計調査を加工) |
同職種のハローワーク求人賃金(月額) | 26.4万円(令和6年度) | 厚生労働省 job tag |
同職種のハローワーク有効求人倍率 | 0.54倍(令和6年度) | 厚生労働省 job tag |
同職種の平均年齢 | 43歳 | 厚生労働省 job tag |
戦力化までの期間 | 1年程度 | 厚生労働省 job tag「就業するには?」 |
全国の有効求人倍率(正社員) | 0.99倍(令和8年3月・季節調整値) | 厚生労働省「一般職業紹介状況」 |
ここで注意が必要なのは、年収736.8万円という数字とハローワーク求人賃金26.4万円(年換算約317万円)の落差です。前者は企画・調査事務員という職業分類の統計であり大企業を含む一方、後者はハローワークに掲載された求人の提示額です。マーケティング人材の中途採用は民間の転職エージェント経由が主戦場であるため、ハローワークの求人倍率が0.54倍と低く出ていても「採りやすい」ことを意味しません。ハローワークだけを見ていると市場を見誤るというのが、この二つの数字から読み取るべき示唆です。
なお、転職市場における募集時年収のレンジは、job tagからリンクされている業界団体の資料(転職賃金相場2025 WEBマーケティング)でも確認できます。
採用側のコスト試算(3年累計・モデルケース)
年収480万円で経験3〜5年のマーケターを1名採用する場合を想定します。地方中小企業が現実に提示しうる水準として設定しました。
費目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 3年累計 |
|---|---|---|---|---|
給与(賞与込み) | 480万円 | 500万円 | 520万円 | 1,500万円 |
社会保険料の事業主負担(給与の約15%) | 72万円 | 75万円 | 78万円 | 225万円 |
採用費(人材紹介手数料 年収の30〜35%) | 150万円 | ― | ― | 150万円 |
求人媒体・スカウト費用 | 30万円 | ― | ― | 30万円 |
PC・ツール・各種設備 | 60万円 | 40万円 | 40万円 | 140万円 |
教育・研修・外部セミナー | 40万円 | 20万円 | 20万円 | 80万円 |
管理コスト(面接・労務・評価の工数) | 30万円 | 15万円 | 15万円 | 60万円 |
合計 | 862万円 | 650万円 | 673万円 | 2,185万円 |
※社会保険料率は協会けんぽ・日本年金機構の公表料率をもとに約15%と概算しています。実際の率は業種・地域で異なります。人材紹介手数料は各社の契約条件によります。本表は自社作成の試算モデルであり、公的統計そのものではありません。
ここに加えて考慮すべきなのが、戦力化までの空白期間です。job tagが示すとおり戦力化には1年程度を要するため、採用活動に3〜6ヶ月かかることを含めると、発注判断から成果が出始めるまで実質1年半を見込む必要があります。
外注側のコスト試算(3年累計・モデルケース)
同等の機能を外部のマーケティング組織で調達した場合を想定します。1年目は立ち上げのため関与を厚く、3年目は内製化を進めて縮小する前提です。
費目 | 1年目 | 2年目 | 3年目 | 3年累計 |
|---|---|---|---|---|
支援費用(月額) | 50万円×12=600万円 | 40万円×12=480万円 | 25万円×12=300万円 | 1,380万円 |
初期構築費(サイト・MA・CRM整備) | 150万円 | ― | ― | 150万円 |
広告・ツール実費 | 120万円 | 120万円 | 120万円 | 360万円 |
社内窓口の工数(担当者の一部工数) | 60万円 | 60万円 | 60万円 | 180万円 |
合計 | 930万円 | 660万円 | 480万円 | 2,070万円 |
3年累計での比較

3年累計の金額はほぼ拮抗します。差が出るのは金額ではなく「時間」と「リスク」です。外注は成果が出始めるまでの期間が半分以下で、離職による振り出しに戻るリスクを負いません。一方で採用は、4年目以降まで定着した場合に単価効率が逆転し、自社商材への理解でも優位に立ちます。
採用が正解になる条件
外注を推す記事は世の中に多くありますが、採用が明確に合理的なケースも存在します。次のいずれかに該当する場合は、採用を優先して検討する価値があります。
条件 | 理由 |
|---|---|
年間マーケティング予算が3,000万円を超える | 外注費が人件費を大きく上回り、内製の単価優位が効き始める |
マーケティングが事業の中核競争力である | ノウハウの外部依存が経営リスクになる |
4年以上の在籍が現実的に見込める処遇を用意できる | 累計コストで採用が有利に転じる |
社内にマーケティングを評価できる人がいる | 採用の見極めと入社後の育成が機能する |
顧客情報の外部共有に制約がある | 契約で解決しきれない業種要件がある |
逆に、これらに一つも当てはまらない状態で採用を進めると、要件が定まらないまま募集をかけ、応募が集まらず、時間だけが過ぎるという結果になりやすくなります。
外注が合理的になる条件
条件 | 理由 |
|---|---|
マーケティング専任者が0名である | 要件定義そのものができないため、採用の成功率が構造的に低い |
半年以内に成果の兆しが必要 | 採用ルートでは戦力化が間に合わない |
必要な領域が複数にまたがる | 戦略・広告・制作・インサイドセールスを1人で担える人材は希少で高額 |
予算が年間1,000万円未満 | 1名分の人件費で予算を使い切ってしまう |
過去に採用して早期離職された | 同じ条件で再挑戦しても結果が変わりにくい |
両者を対立させない、という第三の選択
実務上もっとも成果が出やすいのは、外部で機能を先に立ち上げ、運用が回り始めた段階で採用するという順序です。この順序には二つの利点があります。
第一に、採用要件が具体化します。実際に施策を回してみることで「自社に必要なのは戦略家ではなく実行者だった」といった判断がつくようになり、求人票の解像度が上がります。第二に、入社した人材が着任初日から機能します。仕組みと手順が整った環境に入るため、白紙から始めるより立ち上がりが速くなります。
マーケティング組織代行は稼働管理とアサインが肝

ここまで、両者の比較を記述してきましたが、この章では、当社のマーケティング組織代行が成果を出しやすいポイントを共有致します。
(1)多様なスキルを持ったメンバーのアサイン
周知のとおり、マーケティング活動には様々なスキルが必要になります。(株)JIMOTO marketing share bureauのマーケティング組織代行は、マーケティング戦略・戦術を企画する人材、プロジェクトを推進する人材、デザインをつくる人材、ソースコーディングができる人材など、多様な人材のアサインを最適なタイミングで実施していきます。
(2)稼働管理
前述の通り、多様な人材すべてに一人月分稼働をさせてしまうと、「一か月で数百万円」は飛んでいってしまうのが実態です。弊社は、必要な分だけ、必要な人材をアサインします。15分単位で管理して申告をするため、実際に発生した時間もわかりやすいのが特徴です。
【リンク】マーケティング組織代行とは? 費用・支援範囲・導入手順を中小企業向けに解説
よくある質問
質問 | 回答 |
|---|---|
試算の前提を自社に合わせて変えたいのですが | 給与水準、支援の関与度、広告予算の3つを自社の数値に置き換えれば同じ表で比較できます。資料ダウンロードから比較シートをご利用いただけます。 |
副業人材や業務委託は選択肢になりますか | なります。ただし戦略設計まで任せる場合は稼働時間が不足しがちです。実行部分の補完に向いた選択肢です。 |
外注すると社内に何も残らないのでは | 契約で残す設計にすれば残ります。逆に何も定めなければ残りません。 |
3年より短い契約でも判断できますか | 6ヶ月では立ち上げの途中です。仕組みの成否を判断するには最低12ヶ月を見込むことをおすすめします。 |
地方だと相場は変わりますか | 給与水準は地域差がありますが、マーケティング人材の採用競合は首都圏企業です。地域相場で求人を出すと応募が集まりにくい点にご注意ください。 |
参考文献(公的機関)
出典 | 内容 | URL |
|---|---|---|
厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」Webマーケティング | 年収、求人賃金、有効求人倍率、戦力化期間 | |
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年3月分及び令和7年度分)」 | 全国の有効求人倍率・正社員有効求人倍率 | |
厚生労働省「一般職業紹介状況(令和8年4月分)」 | 直近の求人動向 | |
e-Stat「令和7年賃金構造基本統計調査 一般労働者 都道府県別」 | 地域別の賃金水準の確認 | https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?tclass=000001229518&cycle=0 |
経済産業省・中小企業庁「2026年版中小企業白書」 | 人手不足と経営判断の方向性 | https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260424005/20260424005.html |
労働政策研究・研修機構(JILPT)「都道府県別にみた有効求人倍率」 | 地域別の労働需給 | https://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2026/04/c_01.html |
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記事監修―――
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau
代表取締役 鶴 智之(プロフィール)
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau代表取締役。キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。また前職では、株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも一部関わる。200社以上のマーケティング支援実績と数多くの自治体案件のPM経験などの実績を保有。地域の中小企業の成長こそ真なる地域活性化。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに地域の企業の成長を支援。
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