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マーケティング代行の依頼書(RFP)の書き方|テンプレートと提案比較表付き

この記事の筆者
中井 寛太
株式会社JIMOTO Marketing Share BureauでマーケティングやPRを担当。Web系の広告代理店で、ブランディングマネージャーとして活動した経験を活かし最新のトレンドやビジネス情報を執筆します。
「マーケティング会社に相談したいが、何を伝えればいいか分からない」「3社から提案をもらったものの、中身も金額もばらばらで比べられない」。マーケティング代行や支援会社を探し始めた中小企業から、よくいただく相談です。
原因の多くは、相談する前の準備にあります。自社の状況と頼みたいことを1枚の「依頼書(RFP)」にまとめてから声をかけるだけで、届く提案の質がそろい、比べやすくなります。
本記事では、200社以上の中小企業のマーケティングを支援してきた当社の経験をもとに、次のことを解説します。
マーケティングの依頼書(RFP)とは何か、用意すると何が変わるか
依頼書に書く10項目と、項目ごとの書き方・記入例
書けない項目があっても出してよい理由
届いた提案を公平に比べる「提案比較表」の評価軸と点数のつけ方
提案を依頼するときのNGと、そのまま使えるテンプレート(Excel)
マーケティングの依頼書(RFP)とは?
マーケティングの依頼書(RFP)とは、支援会社に提案を頼む前に、自社の状況・目標・予算・頼みたい範囲をまとめた資料のことです。RFPは「Request for Proposal」の略で、日本語では「提案依頼書」と呼ばれます。
大企業のシステム導入で使うRFPは数十ページになることもありますが、中小企業がマーケティング代行に相談する場合は、A4で1〜2枚で十分です。大切なのは分量ではなく、すべての会社に「同じ情報」を渡すことです。
依頼書があるときと、ないときの違い
項目 | 依頼書なしで相談 | 依頼書を渡して相談 |
|---|---|---|
最初の面談 | 会社説明とヒアリングで終わる | 具体的な進め方の話から始められる |
提案の中身 | 各社の得意な施策の紹介になりやすい | 自社の目標と課題に合わせた提案が届く |
見積もり | 前提がばらばらで金額を比べられない | 同じ範囲・同じ予算感で比べられる |
社内の合意 | 「なんとなく良さそう」で決まる | 目的と評価の理由を説明できる |
依頼書を作る作業そのものが、社内で「何のために、何を頼むのか」を整理する機会にもなります。社長と現場の担当者で目的がずれたまま相談を始めると、契約後に「思っていたのと違う」が起きやすくなります。
依頼書(RFP)に書く10項目
結論から言うと、依頼書に書く項目は次の10個です。各項目は1〜3行の箇条書きで構いません。
項目 | 書くこと | 記入例 |
|---|---|---|
1. 会社概要 | 業種・従業員数・所在地・主な取引先 | 産業用ポンプの部品メーカー。従業員45名、千葉県柏市 |
2. 商品・サービス | 売りたい商品と、選ばれている理由 | 小ロットの特注部品加工。強みは最短5営業日の短納期 |
3. 目的と目標の数字 | 何のために、いつまでに、何件 | 1年後にWebからの問い合わせを月2件から月8件へ |
4. 現状と課題 | 今の集客方法と、困っていること | 問い合わせは紹介と展示会のみ。サイトは5年前のまま |
5. 予算の上限 | 月額の上限。広告費は別枠で | 月額40万円まで(税別)。広告費は別に月10万円まで |
6. 期間 | 開始したい時期と、まず試す期間 | 1月開始。まず6か月で判断 |
7. 社内体制と窓口 | 窓口・決裁者・割ける時間 | 窓口は営業部長、決裁は社長。定例は隔週1時間 |
8. 依頼したい範囲 | 任せたい業務と、社内でやる業務 | 戦略・サイト改善・記事制作。広告運用は相談したい |
9. 提案してほしいこと | 提案書に必ず入れてほしい内容 | 最初の3か月の進め方、体制、費用の内訳、報告方法 |
10. 選考スケジュール | 提案締切・面談日・決定日 | 提案締切12月5日、面談12月中旬、決定12月19日 |

ここからは、特に書き方で差が出る項目を説明します。
目的と目標の数字:「事業の数字」で書く
「認知を広げたい」「SNSを伸ばしたい」だけでは、提案する側は何を目指せばよいか決められません。問い合わせ数、商談数、受注数など、売上につながる数字で書きます。今の数字が分からなければ、「今は月2件程度(感覚)」でも構いません。
目標が高すぎるかどうかは、気にしなくて大丈夫です。数字があれば、支援会社は「その目標なら何が必要か」「現実的にはどこまでか」を提案の中で返してくれます。その返し方自体が、会社を見極める材料になります。
現状と課題:うまくいっていないことも正直に
過去に広告を出して効果が出なかった、ホームページ制作を頼んだが問い合わせが増えなかった、といった経験は必ず書きます。同じ失敗を繰り返さない提案が出てくるかを見られるからです。
予算の上限:隠さずに伝える
予算を伏せて「まずは見積もりを」と頼むと、各社が想定する規模がばらばらになり、比べられない提案が並びます。上限を伝えても、それ以上の金額を無理に押しつけられることは、まともな会社ならありません。むしろ「その予算ならここまでできる」という優先順位の提案が届きます。
マーケティング代行の費用の目安や料金体系の違いは、マーケティング代行の費用相場と選び方の記事で詳しくまとめています。
社内体制と窓口:「割ける時間」まで書く
窓口の担当者が週に何時間使えるか、決裁は誰がするかを書きます。社内の時間がほとんど取れない会社と、担当者が週10時間動ける会社では、同じ目標でも提案の中身が変わるためです。
依頼したい範囲:社内でやることも書く
任せたい業務だけでなく、「商談対応は社内でやる」「SNS投稿は社内で続ける」など、社内に残す業務も書いておきます。範囲の線引きがはっきりするほど、見積もりの前提がそろいます。
提案してほしいこと:比べたい点を先に指定する
後で比較表を使うなら、比べたい点をここで指定しておきます。たとえば「最初の3か月の進め方」「担当者と1か月の稼働時間」「費用の内訳」「報告の頻度と形式」「契約が終わったときに社内に残るもの」です。指定しておけば、各社の提案書に同じ情報が並ぶので、比較がぐっと楽になります。
書けない項目があっても出してよい理由
結論として、全部の項目が埋まっていなくても依頼書は出して大丈夫です。分からない項目は「未定」「相談したい」と書いて渡してください。
専任のマーケターがいない会社が、目標の数字や適切な予算を最初から正しく書けることはまずありません。それを一緒に考えるのも、支援会社の仕事の一部です。空欄のまま出すのではなく、「分からない」と書いておくことで、各社がその部分をどう補ってくるかを比べられます。
書けない項目 | 代わりに書くこと |
|---|---|
目標の数字 | 「今は月2件程度。どれくらいを目指せるか相談したい」 |
予算の上限 | 「月30〜50万円の範囲で、優先順位を提案してほしい」 |
依頼したい範囲 | 「何から手をつけるべきか含めて提案してほしい」 |
現状の数字 | 「アクセス解析は未設定。現状把握から相談したい」 |
このとき、「分からない」に対して質問を返してくる会社と、すぐに定型のプランを出してくる会社の違いがよく見えます。自社の事情を聞こうとする姿勢があるかどうかも、選ぶうえでの大事な判断材料です。
届いた提案を公平に比べる「提案比較表」
提案が届いたら、印象や金額だけで決めずに、同じ評価軸で点数をつけて比べます。当社がおすすめしている評価軸は、次の8つです。
前半の5つは、マーケティング代行の費用が「高いか安いか」を判断するための基準です。後半の3つは、実際に一緒に進められる相手かを見る基準です。
評価軸 | 見るポイント | 提案書・面談で確かめる質問 |
|---|---|---|
比較対象 | 社員で同じ機能をそろえる場合と比べて、費用に納得できるか | この業務を社内でやると、何人・何時間必要ですか |
立ち上がりの速さ | 契約から最初の施策が動くまでの日数 | 契約から何日で最初の施策が始まりますか |
増減できるか | 繁忙期・閑散期にプランや稼働を変えられるか | 途中でプランの変更や一時的な増減はできますか |
何にお金を払うか | 稼働時間か成果物か。稼働の中身が報告されるか | 何に何時間使ったかを、どの頻度で開示しますか |
撤退コスト | 契約終了時に手順書・データ・ツール権限が社内に残るか | 広告やツールのアカウントは誰の名義で作りますか |
実績 | 同じ業種・同じ規模の会社の支援実績 | 当社に近い規模・業種の事例を教えてください |
体制 | 担当者の顔ぶれ、窓口、1か月の稼働時間 | 実際に手を動かすのはどなたですか |
報告 | 報告の頻度と中身(数字+判断の理由+次の打ち手) | 月次の報告書の見本を見せてもらえますか |

中でも見落とされやすいのが「撤退コスト」です。契約を終えたとき、広告アカウントや分析ツールが支援会社の名義のままだと、データも設定も手元に残りません。将来自社で回すことを考えるなら、契約前に必ず確かめておきます。
重み付けと点数のつけ方
評価軸には、自社にとっての大切さに応じて「重み」をつけます。重みは提案が届く前に決めておくのがポイントです。提案を見てから決めると、気に入った会社に有利な重みをつけてしまいがちです。
手順1:重みを1〜3でつける
すべての軸を同じ重さにする必要はありません。たとえば「将来は自社で回したい」なら撤退コストを3に、「とにかく早く始めたい」なら立ち上がりの速さを3にします。3をつける軸は2〜3個にとどめると、判断の軸がぶれません。
手順2:各社を1〜5点で採点する
点数のばらつきを防ぐため、基準をそろえておきます。
点数 | 基準 |
|---|---|
5点 | 具体的な説明や根拠があり、期待以上 |
4点 | 具体的で、自社の希望を満たしている |
3点 | おおむね満たしているが、説明がやや抽象的 |
2点 | 不足がある、または確認しても答えがあいまい |
1点 | 記載がない、または希望と合わない |
採点は1人でせず、社長・営業責任者・実務を担う担当者など2〜3人で別々につけ、点差が大きい軸について話し合うのがおすすめです。見ているポイントの違いが分かり、決定後の社内の納得感も高まります。
手順3:加重合計を出し、最後に費用と見比べる
「重み×点数」を足し合わせたものが加重合計です。次の例では、重みの合計が17なので満点は85点になります。
評価軸 | 重み | A社 | B社 | C社 |
|---|---|---|---|---|
比較対象 | 2 | 4 | 3 | 3 |
立ち上がりの速さ | 2 | 4 | 2 | 4 |
増減できるか | 1 | 3 | 4 | 2 |
何にお金を払うか | 3 | 5 | 3 | 2 |
撤退コスト | 3 | 4 | 2 | 3 |
実績 | 2 | 3 | 5 | 3 |
体制 | 2 | 4 | 4 | 3 |
報告 | 2 | 5 | 3 | 2 |
加重合計(満点85) | - | 70点(82.4%) | 53点(62.4%) | 47点(55.3%) |
月額費用(参考・税別) | - | 50万円 | 40万円 | 30万円 |
費用は点数に入れず、最後に並べて見ます。費用を点数に混ぜると、安い会社が自動的に有利になり、「安かったが何も残らなかった」という失敗につながりやすいためです。この例なら、「A社は月10万円高いが、稼働の開示と撤退コストで差がある。その差に10万円を払う価値があるか」という形で、社内で話し合えます。
点数はあくまで判断の材料です。合計点が近い場合は、面談での相性や、質問への答え方を加味して決めて構いません。
そのまま使える依頼書・比較表テンプレート(Excel)
ここまでの内容を、そのまま使えるExcelのテンプレートにまとめました。シートは次の3つです。
シート | 中身 | 使い方 |
|---|---|---|
使い方 | 目的・記入手順・注意点 | 最初に一読する |
依頼書 | 10項目の記入欄と記入例 | 黄色の欄を埋めて、各社に同じ内容で送る |
提案比較表 | 8つの評価軸、重み、A社・B社・C社の点数、加重合計・得点率・順位の数式 | 重みを先に決め、提案が届いたら点数を入れる |
比較表は、重みと点数を入れるだけで加重合計・得点率・順位が自動で計算されます。月額費用は点数とは別の参考欄に入れる形にしています。

記事内のテンプレート(Excel)は無料でお渡ししています。ご希望の方はお問い合わせフォームからお気軽にご連絡ください。
提案を依頼するときのNG
依頼書と比較表を用意しても、頼み方を間違えると良い提案は集まりません。支援の現場でよく見かける失敗は次のとおりです。
NG | 起きること | こうする |
|---|---|---|
相見積もりの社数が多すぎる | 面談と比較に追われ、1社ずつ深く話せない。辞退する会社も出る | 提案を頼むのは2〜3社に絞る |
会社ごとに伝える内容が違う | 前提がずれ、提案も見積もりも比べられない | 全社に同じ依頼書を渡す |
予算を伏せる | 規模の違う提案が並び、やり直しになる | 上限か、おおよその幅を書く |
提案に細かい成果物まで求める | 契約前の無償作業が増え、良い会社ほど辞退しやすい | 求めるのは進め方・体制・費用の内訳まで |
決裁者が面談に出ない | 担当者が選んだ会社が、最後に社長の一言で覆る | 最終面談には決裁者が同席する |
価格だけで決める | 稼働が見えず、契約後に「何をしているか分からない」になる | 比較表で点数をつけてから費用を見る |
候補の会社を2〜3社に絞る段階では、BtoBの支援会社の選び方をまとめたBtoBマーケティング支援会社の選び方も参考にしてください。
依頼書を出してから契約までの流れ
依頼書を出してから契約まで、1か月程度を見ておくと無理がありません。当社の支援現場での目安は次のとおりです。
時期 | やること |
|---|---|
1週目 | 依頼書を作り、社内で目的と予算を確認する。比較表の重みを決める |
1週目の終わり | 候補の2〜3社に依頼書を送り、提案を依頼する |
2〜3週目 | 各社と面談し、依頼書をもとに質問に答える。提案書を受け取る |
3週目 | 2〜3人で別々に採点し、点差の大きい軸を話し合う |
4週目 | 決裁者を交えて最終面談。契約条件(期間・解約・権限の名義)を確認して決定 |
選ばなかった会社にも、結果は早めに連絡します。理由を一言添えると、将来また相談するときに関係がこじれません。
よくある質問
RFPと見積もり依頼は何が違いますか?
見積もり依頼は「この作業がいくらか」を聞くものです。RFPは、目的や課題を伝えたうえで「どう進めるか」から提案してもらうものです。何を頼むべきか自体がまだ決まっていない段階では、RFPのほうが向いています。
依頼書はどれくらいの分量で作ればいいですか?
中小企業がマーケティング代行に相談する場合は、A4で1〜2枚で十分です。10項目をそれぞれ1〜3行の箇条書きで書けば、提案に必要な情報はそろいます。
提案は何社くらいに頼むのがよいですか?
2〜3社が目安です。それ以上になると、面談や比較に時間がかかりすぎ、1社ずつ深く話せなくなります。事前に会社のサイトや事例を見て、候補を絞ってから依頼してください。
提案や面談に費用はかかりますか?
多くの支援会社では、提案と面談は無料です。ただし、詳しい調査や施策の設計書まで求めると、有料になったり辞退されたりすることがあります。提案で求めるのは、進め方・体制・費用の内訳までにとどめるのが無難です。
比較表で点数が同じくらいになったら、どう決めればいいですか?
重みを3にした軸の点数を見直します。それでも差がなければ、面談で「分からない」と書いた項目にどう向き合ってくれたか、担当者と話しやすいかで決めて構いません。長く一緒に進める相手なので、相性も立派な判断材料です。
まとめ
マーケティング代行に相談する前に、10項目の依頼書(RFP)を1〜2枚で用意する
書けない項目は「未定」「相談したい」と書いて出せばよい。その補い方も会社選びの材料になる
提案は8つの評価軸と重みで点数をつけ、費用は最後に並べて見比べる
相見積もりは2〜3社に絞り、全社に同じ依頼書を渡す
依頼書づくりや会社選びに手が回らないなら「JIMOTOの外付けマーケチーム」
当社のマーケティング代行「JIMOTOの外付けマーケチーム」は、目標の数字づくりや依頼範囲の整理といった「依頼書に書けない部分」から一緒に考えます。依頼書がまだ埋まっていない段階でも、お気軽にご相談ください。
稼働を15分単位で記録して毎週開示。使い切らなかった時間は翌月に繰り越し
月額30万円から(税別)。相談から稼働開始まで1か月未満
手順書やツールの権限を社内に残し、内製化までを見据えて支援
→ 料金プランや支援内容を見る(マーケティング代行サービスページ)
記事監修
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau
代表取締役 鶴 智之(プロフィール)
キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。前職では株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも携わる。200社以上のマーケティング支援実績と、多数の自治体案件のPM経験を持つ。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに、地域企業の成長を支援している。
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