公開日:
2026/8/16
更新日:
2026/8/17
マーケティング組織代行とは? 費用・支援範囲・導入手順を中小企業向けに解説 |JIMOTO STUDY

この記事の筆者
中井 寛太
株式会社JIMOTO Marketing Share BureauでマーケティングやPRを担当。Web系の広告代理店で、ブランディングマネージャーとして活動した経験を活かし最新のトレンドやビジネス情報を執筆します。
マーケティング組織代行とは何か
マーケティング組織代行とは、広告運用やサイト制作といった「施策単位」ではなく、マーケティング部門が担うべき機能そのものを、外部のチームで代替・構築する支援形態です。戦略設計、KPI管理、施策の実行、効果検証、そして社内への定着までを一つのチームが連続して担います。
この形態が求められるようになった背景には、中小企業を取り巻く人材環境の構造変化があります。2026年版中小企業白書は、2010年代以降多くの業種で人手不足感が強まっており、労働供給制約社会の到来に伴って中小企業の雇用者数は減少が見込まれ、人手不足がさらに深刻化するおそれがあると指摘しています。そのうえで、経営環境の転換期において現状維持は最大のリスクであり、長期的な視点で事業構造・組織構造を再構築する「戦略」を持った経営への転換が重要だとまとめています。
つまり「人を採ってから考える」という順番そのものが、成立しにくくなっているということです。マーケティング組織代行は、この順番を「先に機能を立ち上げ、必要になった段階で人を採る」へと反転させる手段だと理解すると分かりやすくなります。
一般的なマーケティング代行との違い
「マーケティング代行」と名のつくサービスは数多くありますが、支援の単位と責任範囲が異なります。両者を混同したまま発注すると、期待した成果が出ないまま契約だけが続くことになります。

施策代行は「決まったことを速く安くやる」ための手段です。一方、多くの中小企業が本当に困っているのは、その「決まったこと」を決める人がいないという点にあります。マーケティング組織代行は、この決める機能から引き受けるところに違いがあります。
支援範囲:どこまでを外部が担うのか
マーケティング組織代行の支援範囲は、大きく四つの層に分けて捉えると整理しやすくなります。
層 | 担う機能 | 具体的な業務の例 |
|---|---|---|
戦略層 | 目標からの逆算設計 | 年間売上目標の分解、市場・顧客の定義、月次のKPI設計、予算配分 |
需要創出層 | リードを生む仕組みの構築 | デマンドセンター構築、Web・MA・CRMの導入と運用設計、コンテンツ設計 |
制作層 | 手を動かす実務 | サイト制作・更新、バナー・資料作成、記事執筆、動画編集 |
商談化層 | リードを商談に変える | インサイドセールスの設計と実行、営業への引き渡し基準の整備 |
企業によって不足している層は異なります。制作は社内でできるが戦略が描けない企業もあれば、方針は明確だが手が足りない企業もあります。全層を丸投げするのではなく、欠けている層だけを補う設計ができるかどうかが、支援会社を選ぶ際の実質的な判断軸になります。
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureauでは、デジタルマーケティング組織代行・デマンドセンター構築・クリエイティブ組織代行・インサイドセールス組織代行を、企業の状況に応じて組み合わせる形で提供しています。方針決定そのものを支える必要がある場合には、社外CMOを含む伴走型のコンサルティング支援を選択いただくこともできます。
なぜ「採用」より先に検討する価値があるのか
マーケティング職は、外部人材の市場がすでに成立している職種です。この点は公的統計からも読み取れます。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」が公表しているWebマーケティング(ネット広告・販売促進)の一般的な就業形態を見ると、正規の職員・従業員が61.1%である一方、自営・フリーランスが37.0%を占めています。同じ調査では、この職業に就いた後、周囲の特別なサポートなしに一般的な就業者と同じように働けるようになるまでの期間について、1ヶ月超〜6ヶ月以下が25.9%、6ヶ月超〜1年以下が14.8%と回答されており、解説本文でも一通り仕事を覚えて自分で仕事を回せるようになるには1年程度が必要とされています。

この二つの数字が意味するところは明快です。マーケティング職は正社員として囲い込まなくても機能を調達できる職種であり、なおかつ採用しても戦力化に約1年かかる職種でもあります。採用が唯一の選択肢ではないという前提に立てるかどうかで、初動の速度は大きく変わります。
費用の考え方
マーケティング組織代行の費用は、支援する層の数と関与の深さで決まります。金額そのものより、「何と比べて高いか安いか」を判断する基準を持つことが重要です。
判断の観点 | 見るべきポイント |
|---|---|
比較対象 | 同等の機能を正社員で揃えた場合の年間人件費(給与+社会保険料の事業主負担+採用費+教育費) |
立ち上がり速度 | 契約から最初の施策実行までの日数。採用の場合は募集開始から戦力化まで通常1年前後 |
変動可能性 | 繁忙期に増やし、閑散期に絞れるか。固定費化する正社員との最大の差 |
成果の定義 | 稼働時間に対して支払うのか、事業指標に対して支払うのか |
撤退コスト | 契約終了時に何が社内に残るか。ドキュメント、運用手順、ツールの管理権限 |
とくに最後の「撤退コスト」は見落とされがちです。
契約が終わった瞬間に何も残らない設計であれば、それは支援ではなく依存です。
導入の流れ
ステップ | 期間の目安 | 実施内容 | 発注側に必要な準備 |
|---|---|---|---|
1. 現状整理 | 1〜2週間 | 売上構造、既存の集客経路、社内リソースの棚卸し | 過去1〜2年の売上・引き合いの記録 |
2. 目標の逆算設計 | 2〜3週間 | 年間目標から月次KPIへの分解、優先施策の決定 | 経営層が目標値を明示すること |
3. 体制の設計 | 1〜2週間 | 外部が担う層と社内が担う層の線引き、窓口担当の決定 | 社内窓口を1名決めること |
4. 初期構築 | 1〜3ヶ月 | Web・MA・CRMなど基盤の整備、コンテンツの初期投入 | 素材・情報提供の協力体制 |
5. 運用と改善 | 4ヶ月目以降 | 月次で数値を検証し、施策を入れ替える | 月1回の定例に経営層が同席すること |
6. 定着・内製化 | 12ヶ月目以降 | 手順の文書化、社内担当への引き継ぎ | 引き継ぐ人材の指名 |
成否を分ける最大の要素は、社内窓口を1名決められるかどうかです。窓口が不在のまま始まった支援は、情報が集まらず、判断が止まり、成果が出ないまま終わります。これは支援会社の力量ではなく、体制設計の問題です。
向いている企業・向いていない企業
状況 | マーケティング組織代行 | 正社員採用 |
|---|---|---|
専任者が0名で、何から始めるか決まっていない | 適する | 要件を定義できず採用に失敗しやすい |
専任者が1名で、その1名が疲弊している | 適する(機能を補完する) | 増員も選択肢だが、まず業務の切り分けが先 |
年間マーケティング予算が数百万円規模 | 適する | 1名分の人件費で予算を使い切る恐れ |
年間予算が3,000万円超、専任2名以上を置ける | 併用が現実的 | 適する |
事業の中核ノウハウが機密性の高い技術 | 契約設計次第で可能 | 適する |
短期の売上だけを求めている | 適さない(仕組み構築には時間が必要) | 適さない |
よくある質問
質問 | 回答 |
|---|---|
丸投げでも成果は出ますか | 出にくいのが実情です。自社の顧客・商品に関する情報は社内にしかないため、月1回程度の定例と社内窓口1名の確保は必要になります。 |
契約期間はどのくらいが一般的ですか | 仕組みの構築と検証には最低でも6ヶ月、成果の安定には12ヶ月程度を見込むのが現実的です。3ヶ月で判断すると、立ち上げ途中で打ち切ることになります。 |
ノウハウは社内に残りますか | 契約時に「運用手順の文書化」「ツール管理権限の自社保有」「定例での意思決定プロセスの共有」を明記しておけば残ります。逆に明記しなければ残りません。 |
採用と並行して進めても構いませんか | 問題ありません。むしろ推奨されます。組織代行で機能を先に立ち上げると、採用要件が具体化し、採用の成功率も上がります。 |
地方の中小企業でも依頼できますか | 可能です。オンライン中心の運用が一般的ですが、地域の商習慣や商圏特性を理解した支援会社を選ぶと立ち上がりが速くなります。 |
参考文献(公的機関)
出典 | 内容 | URL |
|---|---|---|
経済産業省・中小企業庁「2026年版中小企業白書・小規模企業白書」 | 人手不足の構造、労働供給制約、経営の方向性 | https://www.meti.go.jp/press/2026/04/20260424005/20260424005.html |
中小企業庁「2026年版中小企業白書 全文」 | 白書本体 | https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2026/PDF/chusho.html |
厚生労働省「職業情報提供サイト(job tag)」Webマーケティング | 就業形態、賃金、戦力化までの期間 | |
独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業白書のデジタル関連解説」 | 中小企業のデジタル化の到達段階 | https://digiwith.smrj.go.jp/cocoapp/info/feature/hakusyo202604.php |
中小企業庁「ミラサポplus」 | 中小企業向け支援制度の情報 |
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自社にとってどの層の支援が必要か整理したい方は、サービス資料のダウンロードをご利用ください。個別の状況をふまえた設計をご希望の場合は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。実際の支援内容は導入事例一覧でご確認いただけます。
記事監修―――
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau
代表取締役 鶴 智之(プロフィール)
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau代表取締役。キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。また前職では、株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも一部関わる。200社以上のマーケティング支援実績と数多くの自治体案件のPM経験などの実績を保有。地域の中小企業の成長こそ真なる地域活性化。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに地域の企業の成長を支援。
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