公開日:
2025/6/28
更新日:
2025/6/28
【2025年版】持続可能な地域活性化戦略|行政・自治体が今すぐ取り組むべき7つのコト|JIMOTO STUDY

この記事の筆者
鶴 智之
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau代表取締役。キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。また前職では、株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも一部関わる。200社以上のマーケティング支援実績と数多くの自治体案件のPM経験などの実績を保有。地域の中小企業の成長こそ真なる地域活性化。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに地域の企業の成長を支援。
プロフィール:https://www.jimoto-marketing-sb.com/about/profile
- 地域活性化のエンジンは「地域中小企業の成長」であるという大原則
- 戦略1:地域経済の「内側」を強くする3つの基盤構築
- インキュベーション施設の構築:新たな挑戦が生まれる「土壌」を作る
- 共創型のビジネススキーム構築:地域内連携で新たな価値を生む
- 企業の経理DX化支援:足腰の強い経営体質を育てる
- 戦略2:「外」から新たな活力を呼び込む3つの戦略的誘致
- 訪日外国人受け入れのためのエリアブランディング:選ばれる「理由」を創る
- 海外ビジネス促進のスキーム:地域企業の「世界への扉」を開く
- 海外企業・MICE誘致の取り組み:新たな頭脳と投資を呼び込む
- 戦略の実践と連携:各施策を繋ぎ、相乗効果を生み出すには
- まとめ:行政・自治体は「プロデューサー」たれ
「今年もまた、同じようなイベントと補助金事業を計画しているが、本当にこれで地域は良くなるのだろうか…」
「人口減少と高齢化の大きな波に、どう立ち向かえば良いのか、具体的な打ち手が見えない…」
「持続可能な形で地域を活性化させたいが、そのための戦略的な設計図が描けない…」
地域活性化という重責を担い、地域の未来のために日々奮闘されている全国の行政・自治体の皆様から、このような切実な声をお聞きすることが少なくありません。
これまで、多くの地域でイベント開催や施設建設といった活性化策が実施されてきました。しかし、一時的な賑わいは創出できても、それが持続的な経済循環や関係人口の増加に繋がらず、単発的な花火で終わってしまうケースが多いのも、また厳しい現実です。
なぜでしょうか。それは、多くの場合、活性化の施策が「点」で終わり、地域経済の「生態系」そのものを強くする視点が欠けていたからではないでしょうか。
この記事では、単なる対症療法ではない、地域の「稼ぐ力」と「魅力」を根本から高めるための、戦略をご提案します。「地域中小企業の成長」「インキュベーション」「共創」「海外展開」「DX」「ブランディング」「企業誘致」という、ご指定いただいた7つの重要な要素を、一つの統合された戦略として体系的に解説いたします。
本記事が、貴地域の未来を拓くための、具体的で実行可能なロードマップとなれば幸いです。
地域活性化のエンジンは「地域中小企業の成長」であるという大原則
まず、全ての戦略の土台となる、最も重要な原則について確認させてください。それは、持続可能な地域活性化のエンジンは、地域に根ざす中小企業の成長に他ならない、ということです。
イベントによる交流人口の増加や、一時的な補助金は、いわばカンフル剤です。しかし、地域の体力を根本から強くするのは、その地域で事業を営み、雇用を生み出し、税金を納め、そして地域の文化を担う中小企業の皆様の存在です。
彼らが元気に成長し、新たな挑戦を続けることで、地域に魅力的な雇用が生まれ、若者が地元に残り、あるいはUターン、Iターンしてくるという好循環が生まれます。私たちの役割は、このエンジンが力強く回り続けるための環境を、戦略的に整備することにあります。
戦略1:地域経済の「内側」を強くする3つの基盤構築
地域活性化の第一歩は、外から人を呼び込む前に、まず地域経済の「内側」、すなわち地域企業の足腰を強くすることから始まります。
インキュベーション施設の構築:新たな挑戦が生まれる「土壌」を作る
地域に新たな事業や挑戦者を増やすためには、彼らが安心して芽を出し、成長できる「土壌」が必要です。その役割を果たすのがインキュベーション施設です。
しかし、これは単に安くオフィススペースを貸し出す「ハコモノ」ではありません。真に機能するインキュベーション施設とは、起業家、第二創業者、事業承継者、地域企業と連携したい外部の専門家などが集う「生態系のハブ」です。
そこでは、安価なオフィスだけでなく、経営相談ができるメンター、資金調達を支援する金融機関の担当者、法務・労務の相談に乗る士業、そして私たちのようなマーケティングの専門家などが連携し、入居者を多角的にサポートする体制が不可欠です。行政は、このハブ機能を持つ施設の設立と運営を主導または支援することで、地域に挑戦の種を蒔き、育てる環境を直接的に創り出すことができます。
共創型のビジネススキーム構築:地域内連携で新たな価値を生む
地域内には、素晴らしい資源や技術を持ちながらも、単独ではそれを十分に活かしきれていない企業が数多く存在します。行政や自治体は、これらの企業同士を繋ぎ、新たな価値を「共創」するビジネススキームをプロデュースする役割を担うべきです。
例えば、以下のような連携が考えられます。
農家 × 食品加工会社 × デザイナー: 地域の特産品である果物を使い、洗練されたパッケージデザインの新しいスイーツを共同開発し、ふるさと納税のスター返礼品を目指す。
伝統工芸の工房 × 宿泊施設 × 旅行会社: 職人の指導のもと伝統工芸を体験できるプログラムを開発し、それを組み込んだ特別な宿泊プランとして旅行会社が販売する。
このような異業種間の連携は、自然発生的にはなかなか生まれません。行政が触媒となり、マッチングの機会を創出したり、共同開発への初期支援を行ったりすることで、地域内に新しい経済の循環を生み出すことができます。
企業の経理DX化支援:足腰の強い経営体質を育てる
デジタルマーケティングやデータに基づいた経営判断は、現代の企業にとって不可欠です。しかし、その大前提となるのが、自社の経営状況を正確かつリアルタイムに把握できる「経理・財務のDX(デジタルトランスフォーメーション)」です。
多くの地域中小企業では、未だに手書きの帳簿や古い会計ソフトが使われ、経営者が自社の正確な財務状況を把握するのに時間がかかっているケースが少なくありません。これでは、的確な投資判断も、金融機関からのスムーズな融資も望めません。
行政や自治体は、地域の商工会や税理士会と連携し、クラウド会計ソフトの導入支援セミナーや、導入費用の一部補助といった施策を推進すべきです。経理業務の効率化は、経営者が本来注力すべき事業戦略や製品開発に時間を使えるようにするだけでなく、データドリブンな経営への第一歩となり、地域企業全体の経営体質を強化します。
戦略2:「外」から新たな活力を呼び込む3つの戦略的誘致
地域の内側を強くすると同時に、外から新しい「人・モノ・カネ・情報」を呼び込む戦略も必要です。
訪日外国人受け入れのためのエリアブランディング:選ばれる「理由」を創る
インバウンド観光は、地域に大きな経済効果をもたらす重要な柱です。しかし、単に多言語のパンフレットを作るだけでは、世界中の競合地域との競争には勝てません。必要なのは、「なぜ、他の場所ではなく、この地域を訪れるべきなのか」という明確な理由、すなわち強力な「エリアブランディング」です。
行政・自治体は、DMO(観光地域づくり法人)などと連携し、地域の持つ独自の価値(例:「禅とミニマリズムを体験できる静寂の里」「世界最高峰のパウダースノーと食文化」など)を定義し、ターゲットとする国や旅行者のペルソナに響く、一貫したメッセージと世界観を構築し、発信していく必要があります。Webサイト、SNS、海外の旅行博出展など、あらゆるチャネルでこのブランドイメージを訴求していくことが、選ばれるデスティネーションになるための鍵です。
海外ビジネス促進のスキーム:地域企業の「世界への扉」を開く
地域の素晴らしい製品や技術も、国内市場だけでは成長に限界があります。行政・自治体には、地域企業が海外市場へ挑戦するための「扉」を開き、その航海をサポートする役割が求められます。
具体的なスキームとしては、以下のようなものが考えられます。
海外見本市への共同出展支援: 自治体が窓口となり、複数の地域企業が共同で海外の主要な見本市に出展する際の費用補助や、通訳・輸送などのロジスティクスをサポート。
多言語マーケティングツールの制作支援: 海外向けのWebサイト、製品カタログ、プロモーション動画などの制作費用を補助。
オンライン商談会・マッチング支援: 海外バイヤーと地域企業を繋ぐ、オンラインでの商談会やマッチングプラットフォームを主催・運営。
これらの支援により、単独では海外展開が難しかった中小企業も、世界市場への第一歩を踏み出すことが可能になります。
海外企業・MICE誘致の取り組み:新たな頭脳と投資を呼び込む
地域活性化は、観光客や移住者を呼び込むだけではありません。新たな「頭脳(人材・技術)」と「投資(資金)」を呼び込むための、戦略的な企業誘致も極めて重要です。
特に、MICE(マイス:Meeting, Incentive Travel, Convention, Exhibition/Event)の誘致は、ビジネス層の来訪による高い経済効果だけでなく、地域の産業振興や国際的な認知度向上にも繋がります。
行政・自治体は、サテライトオフィスの設置補助金、法人税の優遇措置、研究開発拠点への助成金といったインセンティブを用意するとともに、地域の大学や研究機関との連携、ビジネスに適した居住環境などを積極的にPRし、国内外の成長企業や国際会議の誘致に取り組みます。インキュベーション施設を、海外スタートアップ向けの受け皿として活用することも有効な戦略です。
戦略の実践と連携:各施策を繋ぎ、相乗効果を生み出すには
ここまで解説してきた6つの戦略は、それぞれが独立して機能するものではありません。これらを戦略的に連携させることで、1+1が3にも4にもなる、大きな相乗効果を生み出すことができます。
表:戦略連携による相乗効果モデル
連携する戦略 | 具体的な連携アクション例 | 期待される相乗効果 |
戦略A: エリアブランディング | 「〇〇(地域ブランド名)公式体験プログラム」として、地域内事業者が共創した体験コンテンツ(例:農家レストラン、工芸体験)をパッケージ化し、ブランドサイトの主軸コンテンツとして国内外に発信する。 | 地域のブランドイメージが具体的で魅力的な「体験」と結びつき、訴求力が飛躍的に向上。観光客の満足度と消費額が増加する。 |
戦略C: インキュベーション施設 | 誘致したい海外スタートアップ企業に対し、インキュベーション施設への優先的な入居権や、家賃補助をインセンティブとして提供する。施設内の専門家による経営・マーケティング支援もセットで提案する。 | 海外からの有望なスタートアップ誘致が促進される。誘致した企業が地域の生態系に組み込まれ、新たなイノベーションや雇用創出の核となる。 |
戦略E: 経理DX化支援 | 海外展開を目指す企業に対し、多通貨対応のクラウド会計システムの導入支援や、貿易実務に関するDXセミナーを実施。海外取引におけるバックオフィスの負担を軽減する。 | 地域企業が安心して海外ビジネスに挑戦できる環境が整う。経営の可視化により、海外展開における迅速な意思決定が可能になる。 |
まとめ:行政・自治体は「プロデューサー」たれ
人口減少という大きな構造変化の中で、これからの行政・自治体に求められる役割は、単にインフラを整備し、補助金を配分する「管理者」ではありません。地域の多様なプレイヤーの間に立ち、彼らの力を引き出し、連携させ、新たな価値を創造する「戦略的プロデューサー」としての役割です。
今回ご提案した7つの戦略、すなわち、
地域中小企業の成長をエンジンとするという大原則のもと、
新たな挑戦を生むインキュベーション施設を創り、
地域内での共創ビジネスを促し、
DX化で企業の経営体質を強化し、
エリアブランディングで外からの人を惹きつけ、
海外ビジネスの扉を開き、
企業やMICEという新たな投資を呼び込む。
これらは、そのプロデューサーが持つべき、持続可能な地域活性化を実現するための具体的な脚本であり、演出プランです。
変化を恐れず、戦略的な視点を持って、地域という舞台で新たな物語をプロデュースする。その最初の一歩を踏み出すことが、未来を拓く鍵となります。
【地域活性化の戦略策定・実行でお困りではありませんか?】
私たち株式会社JIMOTO Marketing Share Bureauは、地域活性化を目指す行政・自治体の皆様の「戦略的パートナー」です。
本記事でご紹介したような戦略の策定から、DMOや地域事業者と連携した具体的なプロジェクトの推進まで、マーケティングの専門知識と豊富な実務経験に基づき、伴走型でご支援いたします。
「自地域の現状を分析し、最適な活性化戦略を立案したい」
「具体的なプロジェクトの進め方について、専門家の意見が聞きたい」
このようなご要望がございましたら、ぜひ一度、お気軽にご相談ください。貴地域の持つ無限の可能性を、私たちが共に引き出すお手伝いをさせていただきます。
地域活性化、マーケティング、BtoBセールスマーケティングについて、何かご不明なことがありましたら、お問い合わせください。
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