公開日:
2025/4/11
更新日:
2025/5/30
【BtoBマーケティングの基礎】カスタマーサクセスとは? 中小企業が顧客と共に成長するための実践ガイド |JIMOTO STUDY

この記事の筆者
鶴 智之
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau代表取締役。キャリアを通してBtoBマーケティングのクライアントワークに従事。また前職では、株式会社Resorzの取締役を務め、海外ビジネス支援事業にも一部関わる。200社以上のマーケティング支援実績と数多くの自治体案件のPM経験などの実績を保有。地域の中小企業の成長こそ真なる地域活性化。「マーケティングで地域を元気に」をモットーに地域の企業の成長を支援。
プロフィール:https://www.jimoto-marketing-sb.com/about/profile
- カスタマーサクセスの背景・基礎情報
- カスタマーサクセスの重要性・魅力・利点
- カスタマーサクセスの実践の必要性・理由
- 実践のための具体的な要素・考慮事項
- ポイント1:顧客にとっての成功とは何か
- ポイント2:成功に至るまでのプロセス
- ポイント3:セグメント毎にアプローチ
- ポイント4:サクセスKPIの設定と観測
- ポイント5:トリガーの設置
- ポイント6:部門間連携
- 具体的な手段・ツール・アプローチ
- 手段・アプローチ:
- ツール:
- 注意点・リスク・成功のポイント
- 注意点・リスク:
- 成功のポイント:
- 事例紹介・ケーススタディ
- 事例1:BtoB向け業務効率化SaaSを提供する企業C社
- 事例2:地域密着型のWeb制作・マーケティング支援会社D社
- カスタマーサクセスの評価指標
- まとめと次のステップ
自社の活動は最適化されている?
\マーケティング活動 最適化診断!/
1. 自社サイトやLPは、目的に応じて設計・改善されていますか?
2. SNS・広告などの集客施策が継続的に運用されていますか?
3. お問い合わせや資料請求などの導線設計は最適化されていますか?
4. 顧客管理やメール・LINEでのフォロー体制が構築されていますか?
5. 定期的に数値分析を行い、改善アクションを取れていますか?
「新規顧客を獲得するのに精一杯で、既存のお客様へのフォローが手薄になっていないだろうか?」「せっかく導入いただいたサービスが、お客様に十分に活用されていない気がする…」 このような悩みを抱える中小企業のマーケターや経営者の皆様は、決して少なくないのではないでしょうか。特に、継続的なお付き合いが前提となるBtoBビジネスや、SaaSをはじめとするサブスクリプションモデルにおいては、顧客が離れてしまう「解約(チャーン)」は深刻な問題です。
こんにちは、株式会社JIMOTO Marketing Share Bureau 代表取締役の鶴です。私たちは、「地域企業の成長無くして、真なる地域活性化なし」というミッションを掲げ、地域企業の皆様が持続的に成長していくためのマーケティング支援を行っております。その中で強く感じるのは、これからの時代、新規顧客の獲得と同じくらい、いや、それ以上に既存顧客との良好な関係を築き、顧客を成功に導くことが重要になるということです。
今回の記事では、この「顧客を成功に導く」ための能動的な取り組みである「カスタマーサクセス」に焦点を当てます。カスタマーサクセスとは何か、なぜBtoBマーケティングにおいて重要なのか、そして中小企業がどのように実践していけばよいのか、具体的な「サクセスKPI」にも触れながら、わかりやすく解説していきます。顧客の成功こそが自社の成功に繋がるという考え方は、まさに地域と共に成長を目指す私たちJIMOTO Marketing Share Bureauの根幹にも通じるものです。この記事が、貴社の顧客との向き合い方を見つめ直し、より強固な事業基盤を築くための一助となれば幸いです。
カスタマーサクセスの背景・基礎情報
まず、「カスタマーサクセス(Customer Success、以下CS)」とは何か、その基本的な概念から整理しましょう。CSとは、顧客が自社の製品やサービスを通じて、期待していた成果や目的(つまり「成功」)を達成できるように、能動的・積極的に支援する一連の活動や考え方、あるいはそれを専門に行う組織のことを指します。
従来の「カスタマーサポート」が、顧客からの問い合わせやクレームに対して受動的に対応する守りの役割だったのに対し、CSは顧客が問題を抱える前に、あるいは顧客自身が気づいていない価値を引き出すために、先回りして働きかける攻めの役割を担います。例えば、「この機能を使えばもっと業務が効率化できますよ」「御社のこの課題には、こういう活用法が有効です」といった提案を積極的に行うイメージです。
このCSという考え方が急速に広まった背景には、特にソフトウェア業界における「SaaS(Software as a Service)」をはじめとするサブスクリプション(月額・年額課金)モデルの普及があります。売り切り型のビジネスとは異なり、サブスクリプションモデルでは、顧客に継続して利用してもらい、契約を更新してもらうことが収益の根幹となります。顧客が製品・サービスに価値を感じず、成功体験を得られなければ、すぐに解約(チャーン)してしまうリスクがあるのです。
一般的に、新規顧客を獲得するコストは、既存顧客を維持するコストの5倍かかると言われています(1:5の法則)。つまり、既存顧客にいかに長く、満足して利用してもらい、顧客生涯価値(LTV: Life Time Value)を高めるかが、事業の安定成長にとって極めて重要になります。CSは、まさにこのLTV最大化と解約率(チャーンレート)最小化を実現するための鍵となる考え方なのです。
カスタマーサクセスの重要性・魅力・利点
カスタマーサクセスが、現代の特にBtoBビジネスにおいてなぜこれほど重要視されるのでしょうか。その理由は、単に解約を防ぐという守りの側面だけではありません。むしろ、事業成長を加速させる攻めの要素を多く含んでいます。
まず、安定的な収益基盤の構築に直結します。顧客が製品・サービスを活用して成功体験を得られれば、満足度が高まり、継続利用(契約更新)に繋がりやすくなります。これにより、解約率が低下し、予測可能で安定した収益(リカーリングレベニュー)を確保できます。これは、事業の安定性を高める上で非常に大きなメリットです。
また、アップセル・クロスセルの機会創出に繋がります。CS担当者は顧客と継続的に関わる中で、顧客のビジネスや課題を深く理解していきます。その過程で、「もっと上位のプランにすれば、さらにこんな成果が出せますよ(アップセル)」「この関連サービスも使えば、御社の課題解決が加速しますよ(クロスセル)」といった、顧客の成功をさらに後押しする提案が可能になります。これは、既存顧客からの売上(Expansion Revenue)を伸ばし、LTVを最大化する上で極めて効果的です。
次に、顧客が自社の「ファン」となり、推奨者(アドボケイト)になってくれる可能性を高めます。製品・サービスに満足し、手厚いサポートによって成功体験を得た顧客は、自社の良き理解者となります。彼らは、口コミやSNSで好意的な評価を発信してくれたり、導入事例への協力を快諾してくれたり、新たな見込み客を紹介してくれたりする可能性があります。これは、BtoBマーケティングにおける強力な武器となり、新規顧客獲得コストの削減にも貢献します。
最後に、製品・サービスの改善に繋がる貴重なフィードバックを得られる点も重要です。CS担当者は、顧客の生の声(活用状況、要望、不満など)に最も近い存在です。これらの情報を社内の開発部門やマーケティング部門にフィードバックすることで、より顧客ニーズに合致した製品改善や、マーケティングメッセージの最適化に繋げることができます。
このように、CSは単なる顧客サポートの延長ではなく、顧客満足度の向上、収益の安定化と拡大、そしてマーケティング活動の強化に貢献する、事業成長に不可欠な戦略的機能なのです。これは、私たちJIMOTO Marketing Share Bureauが目指す、クライアント企業の「真なるブランド価値の可視化」と「成果最大化」にも通じる考え方です。
カスタマーサクセスの実践の必要性・理由
「カスタマーサクセスが重要なのはわかったけれど、うちは中小企業だし、専門の部署を作る余裕なんてない…」そう思われる経営者の方もいらっしゃるかもしれません。しかし、たとえ専任の担当者を置けなくても、CSの考え方を取り入れ、できることから実践していく必要性は高まっています。
なぜなら、顧客が成功しなければ、結局は自社のビジネスも立ち行かなくなるからです。特に、以下のような状況に心当たりがある場合、CS的な取り組みの導入は急務と言えるでしょう。
サービスの解約率が高い、あるいは徐々に上昇している。 サブスクリプションモデルの場合、解約は直接的に収益の減少に繋がります。
顧客からの問い合わせが、使い方に関する初歩的なものや、クレームが多い。 これは、顧客が製品・サービスを十分に理解・活用できていない、あるいは導入効果を実感できていないサインかもしれません。
導入後の顧客フォローが、営業担当者の属人的な活動に依存している。 担当者が変わったり、忙しくなったりすると、フォローが手薄になり、顧客満足度が低下するリスクがあります。
顧客が製品・サービスのどの機能をよく使っているか、あるいは使っていないか把握できていない。 活用されていない機能は、顧客にとって価値がない、あるいは使い方がわからない可能性があります。放置すれば解約のリスクを高めます。
アップセルやクロスセルの提案をしても、なかなか受け入れてもらえない。 顧客との信頼関係が十分に構築できていない、あるいは顧客の成功イメージを共有できていない可能性があります。
これらの課題を放置することは、既存顧客の流出、LTVの低下、新規顧客獲得コストの増大、そしてネガティブな評判の拡散といったリスクに繋がります。「顧客サポートがあれば十分」という考え方は、もはや通用しなくなりつつあります。顧客は単に製品や機能を買っているのではなく、それを通じて得られる「成果」や「成功」を求めているのです。その成功体験を提供できて初めて、顧客は長期的なパートナーとして自社を選び続けてくれます。中小企業であっても、顧客の成功に能動的に関与していく姿勢を持つことが、これからの時代を生き抜く上で不可欠なのです。
実践のための具体的な要素・考慮事項

では、具体的にカスタマーサクセスを実践していくためには、どのような要素を考慮し、どのようなステップで進めていけばよいのでしょうか。中小企業でも取り組める実践のポイントを解説します。
ポイント1:顧客にとっての成功とは何か
「顧客にとっての成功とは何か」を定義することから始めます。自社の製品・サービスを導入することで、顧客がどのような状態になること、どのような成果を出すことが「成功」なのかを具体的に定義します。これは顧客の業種や規模、利用目的によって異なるはずです。顧客へのヒアリングやアンケート、営業担当者からの情報収集などを通じて、顧客目線での成功イメージを明確にしましょう。
ポイント2:成功に至るまでのプロセス
顧客が製品・サービスを導入してから価値を実感し、成功に至るまでのプロセス(カスタマージャーニー)を理解することが重要です。一般的には、導入初期の「オンボーディング(利用開始支援)」、基本的な機能を使いこなす「アダプション(定着化)」、より高度な活用や関連サービスの利用に進む「エクスパンション(利用拡大)」、そして契約を更新する「リニューアル(契約更新)」といったフェーズがあります。各フェーズで顧客がどのような課題に直面しやすいか、どのような支援が必要かを把握します。
ポイント3:セグメント毎にアプローチ
顧客をセグメンテーションし、アプローチ方法を最適化することを考えます。すべての顧客に同じように手厚いサポートを提供するのは、リソース的に困難な場合が多いでしょう。顧客の契約規模(LTVポテンシャル)やビジネスの複雑性などに応じて、「ハイタッチ(専任担当者が手厚くサポート)」「ロータッチ(セミナーやメールなどで一斉にサポート)」「テックタッチ(システムやツールを活用して自動でサポート)」といった形で、アプローチの濃淡をつけます。
ポイント4:サクセスKPIの設定と観測
顧客の成功度合いや健全性を測るための指標(サクセスKPI)を設定し、継続的にモニタリングすることが不可欠です。これについては後ほど詳しく述べますが、KPIを設定することで、CS活動の効果を測定し、改善に繋げることができます。
ポイント5:トリガーの設置
プロアクティブ(能動的)なエンゲージメントモデルを構築することを目指します。顧客からの問い合わせを待つのではなく、KPIや顧客の利用状況データなどから「つまずきそうな兆候」を検知し、先回りしてサポートを提供したり、活用を促進したりする仕組み・トリガー(ヘルススコアの管理や、状況に応じたアクションプラン=プレイブックの実行など)を考えます。
ポイント6:部門間連携
部門間の連携を強化することです。CSは、CS部門(あるいは担当者)だけで完結するものではありません。マーケティング部門(顧客向けの情報発信、コミュニティ運営など)、営業部門(契約更新、アップセル・クロスセル提案)、開発部門(顧客からのフィードバック反映)、サポート部門(問い合わせ対応)など、関連する全部門が連携し、顧客情報を共有し、一貫した顧客体験を提供することが重要です。
これらの要素を考慮し、まずは自社の状況に合わせて、できる範囲からスモールスタートで取り組んでいくことが現実的です。
具体的な手段・ツール・アプローチ
カスタマーサクセスを実践するための具体的な手段、活用できるツール、そしてアプローチ方法について見ていきましょう。
手段・アプローチ:
プロアクティブなコミュニケーション: 定期的な連絡(メール、電話)、製品・サービスの活用状況のヒアリング、目標達成に向けた進捗確認などを能動的に行います。
オンボーディング支援: 導入初期の顧客がスムーズに利用を開始できるよう、個別トレーニング、設定サポート、スタートアップガイドなどを提供します。
活用促進コンテンツの提供: ヘルプページ、FAQ、チュートリアル動画、活用事例紹介、ベストプラクティス集など、顧客が自己解決や更なる活用を進められるような情報を提供します。(弊社の「ジモトクリエイティブオフィス」のようなサービスで、こうしたコンテンツ制作を支援することも可能です。)
定期的なレビューミーティング: 特にハイタッチ顧客に対しては、定期的にミーティング(QBR: Quarterly Business Reviewなど)を実施し、利用状況の報告、成果の確認、今後の目標設定、課題解決などを共に行います。
ユーザーコミュニティの運営: 顧客同士が情報交換したり、成功事例を共有したりできる場を提供し、エンゲージメントを高めます。
顧客ヘルススコアの管理: 顧客の利用状況、サポートへの問い合わせ頻度、アンケート結果などのデータを基に、顧客の健全性(=解約リスクやアップセルの可能性)をスコアリングし、フォローが必要な顧客を特定します。
セグメント別のアプローチ: 前述のハイタッチ、ロータッチ、テックタッチに基づき、コミュニケーションの頻度や内容、チャネル(メール、電話、ウェビナー、対面など)を使い分けます。
ツール:
CRM(顧客関係管理システム): 顧客情報、商談履歴、コミュニケーション履歴などを一元管理する基盤となります。SalesforceやHubSpot CRMなどが代表的です。
カスタマーサクセスプラットフォーム: Gainsight, Totango, ChurnZero, Catalystといった専用ツールは、ヘルススコアリング、エンゲージメント管理、タスク管理、プレイブック実行支援など、CS活動に特化した機能を提供します。中小企業向けには、より安価なツールや、CRMの拡張機能で対応できる場合もあります。
ヘルプデスク/チケット管理ツール: ZendeskやFreshdeskなど。顧客からの問い合わせを効率的に管理し、サポート部門との連携を円滑にします。
MA(マーケティングオートメーション): HubSpot Marketing Hubなど。顧客セグメントに応じたメール配信や、Web行動履歴の追跡などに活用できます。
アンケート/NPSツール: SurveyMonkeyやQualtrics、もしくはNPS(ネットプロモータースコア)計測ツール。顧客満足度やロイヤルティを測定し、フィードバックを収集します。
データ分析ツール: Google AnalyticsやBIツールなど。顧客の利用状況やCS活動の効果を分析します。
これらの手段やツールを組み合わせ、自社の顧客やビジネスモデルに合った形でCS活動を設計・実行していくことが重要です。私たちJIMOTO Marketing Share Bureauも、クライアント様の状況に応じて、最適なマーケティングツール選定や活用支援を行っています。関連サービス:デジタルマーケティング組織代行へのリンク
注意点・リスク・成功のポイント
カスタマーサクセスは大きな可能性を秘めていますが、その導入・運用には注意すべき点やリスクも伴います。成功確率を高めるためのポイントと合わせて解説します。
注意点・リスク:
CSを単なる「高級なカスタマーサポート」と誤解する: CSの目的は、問い合わせ対応ではなく、顧客の成功支援です。この認識がずれていると、活動が受動的になり、本来の効果を発揮できません。
目標・KPIが不明確: 何をもって「成功」とするのか、何を指標として活動を評価するのかが曖昧だと、活動が場当たり的になり、効果測定や改善も困難になります。
顧客セグメンテーションの誤り: すべての顧客に同じ対応をしようとしたり、逆にセグメンテーション基準が不適切だったりすると、リソースの浪費や顧客満足度の低下を招きます。
部門間の連携不足: CS、営業、マーケティング、開発などの部門がサイロ化し、情報が共有されないと、一貫性のないアプローチとなり、顧客を混乱させてしまいます。
ツールの導入が目的化する: CSプラットフォームなどのツールはあくまで手段です。戦略やプロセスが固まらないままツールを導入しても、うまく活用できません。
短期的な成果を求めすぎる: CSは関係構築を通じて成果を出す活動であり、効果が出るまでには時間がかかる場合があります。
成功のポイント:
経営層の強いコミットメント: CSは全社的な取り組みです。経営層がその重要性を理解し、リーダーシップを発揮することが不可欠です。
「顧客の成功」を第一に考える文化の醸成: 組織全体が、常に「どうすれば顧客が成功するか?」を考え、行動する文化を作ることが重要です。
明確なサクセスKPIの設定とデータに基づいた意思決定: 感覚や経験だけでなく、設定したKPIデータを基に状況を判断し、改善アクションを実行するサイクルを回します。
プロアクティブ(能動的)な姿勢: 問題が発生する前に兆候を捉え、先回りして顧客に関与していく姿勢が求められます。
部門間の強力な連携と情報共有: 定期的なミーティングや共通のツール活用などを通じて、部門間の壁を取り払い、スムーズな連携を実現します。
適切なツールの活用: 自社の規模やCS戦略に合ったツールを選定し、効率化と効果測定に役立てます。
スモールスタートと継続的な改善: 最初から完璧を目指さず、まずはできる範囲で始め、効果測定をしながら改善を繰り返していくことが現実的です。
これらのポイントを意識し、粘り強く取り組むことが、カスタマーサクセスを成功に導く鍵となります。
事例紹介・ケーススタディ
カスタマーサクセスがどのように機能し、企業の成長に貢献しているのか、具体的な(架空の)事例を通じて見ていきましょう。
事例1:BtoB向け業務効率化SaaSを提供する企業C社
C社は、多機能な業務効率化SaaSを提供していましたが、導入後の顧客の活用率が低く、解約率も高い水準で推移していました。多くの顧客が基本機能しか使っておらず、サービスの価値を十分に実感できていないことが課題でした。
そこでC社はCSチームを立ち上げ。まず、顧客データを分析し、契約プランや利用状況に応じて顧客を「ハイタッチ」「ロータッチ」「テックタッチ」にセグメント化。次に、各セグメントの顧客が目指すべき「成功(例:特定の機能活用による〇〇時間の工数削減)」と、そこに至るまでのオンボーディングプログラムを定義しました。
ハイタッチ顧客には専任のCS担当者をつけ、定期的なミーティングで活用状況を確認し、個別の目標達成を支援。ロータッチ顧客には、機能別・目的別のオンラインセミナーや活用事例紹介メールを定期的に配信。テックタッチ顧客には、利用状況に応じてシステムから自動でTipsメールを送ったり、ヘルプセンターへ誘導したりする仕組みを構築しました。
また、顧客の利用ログから「特定の重要機能を一定期間利用していない」「ログイン頻度が低下している」といった解約の兆候(ヘルススコアの悪化)を検知し、CS担当者がプロアクティブに連絡を取る体制も整備しました。
これらの取り組みの結果、SaaSの主要機能のアクティブ率が向上し、1年後には解約率が以前の半分以下に改善。さらに、顧客の成功事例が増えたことで、アップセルやクロスセルにも繋がり、既存顧客からの売上が前年比130%に増加しました。
事例2:地域密着型のWeb制作・マーケティング支援会社D社
D社は、地域の店舗や中小企業向けにWebサイト制作や集客支援を提供していました。しかし、納品後のフォローが十分でなく、「作ったはいいけど、どう活用すればいいかわからない」「効果が出ているのか実感できない」といった顧客の声がありました。
D社は、既存顧客向けの「活用支援プログラム」を導入(実質的なCS活動)。Webサイト納品後、3ヶ月間は月1回のフォローアップミーティングを実施し、アクセス状況の報告、ブログ更新やSNS活用の簡単なレクチャー、改善提案などを行うことにしました。担当は、制作に関わったディレクターや、弊社の「JIMOTO TENPO Marketer」のような月額支援サービス担当者が兼務する形です。
さらに、顧客向けの簡単なアクセス解析レポートの見方や、SNS投稿のコツなどをまとめた「活用ガイド」を作成し配布。定期的に顧客向けの活用セミナー(オンライン)も開催しました。
これにより、顧客は納品後も安心してWebサイトを活用できるようになり、効果を実感する声が増加。「アクセス数が増えた」「問い合わせに繋がった」といった具体的な成果報告(サクセスKPIの達成)も聞かれるようになりました。結果として、顧客満足度が向上し、既存顧客からの追加発注や紹介が増え、D社の地域での評判も高まりました。
これらの事例のように、企業の規模や業種に関わらず、CSの考え方を取り入れ、顧客の成功を支援する仕組みを構築することが、持続的な成長に繋がるのです。
カスタマーサクセスの評価指標

カスタマーサクセスを成功させるためには、マーケティング活動と同様に評価指標が重要となります。顧客の健全性、定着率、解約率などの指標を事前に決め手おくことが重要です。また、カスタマーサクセスは、「セールスではない」という印象を持たれがちですが、明確に「セールス活動の一部」と言えます。逆にセールスは、「カスタマーサクセス活動の一部」と言えます。カスタマーサクセスにもアップセルやクロスセルのチャンスはあり、それらを明確に目標として定義しておくことで、組織の拡大を狙うことができます。詳細は上記の表を確認し、自社なりのカスタマーサクセス評価指標を策定してみてください。
まとめと次のステップ
本記事では、「カスタマーサクセス(CS)」とは何か、その重要性、具体的な実践方法、成功のためのポイント、そして成功を測る「サクセスKPI」について、特にBtoBビジネスや中小企業の視点から解説してきました。
カスタマーサクセスとは、顧客が自社の製品・サービスを通じて成功を達成できるよう、能動的に支援する戦略的な取り組みです。これは単なる顧客サポートではなく、解約率の低減、LTVの最大化、アップセル・クロスセルの促進、顧客ロイヤルティの向上、そしてマーケティング活動への貢献など、事業成長に不可欠な多くのメリットをもたらします。
サブスクリプションモデルの普及などにより、これからのBtoBマーケティングにおいては、新規顧客獲得と同じかそれ以上に、既存顧客にいかに価値を提供し、成功してもらい、長く関係を築いていくかが重要になります。中小企業であっても、専門部署がなくとも、CSの考え方を理解し、できることから実践していくことが、競争優位性を築き、持続的な成長を実現する鍵となるでしょう。
この記事を読んで、「自社でもCSに取り組む必要性を感じた」「具体的に何から始めればいいか相談したい」と思われた方もいらっしゃるかもしれません。
次のステップとして、まずは「自社の顧客にとっての成功とは何か?」を定義し、既存顧客の状況(満足度、活用度、解約状況など)を把握することから始めてみてはいかがでしょうか。そして、もしカスタマーサクセスの導入や、顧客との関係性を強化するための具体的な戦略についてお悩みであれば、ぜひ私たちにご相談ください。
株式会社JIMOTO Marketing Share Bureauでは、BtoBマーケティング戦略全般のご支援はもちろん、顧客との良好な関係構築、LTV向上に繋がる施策のご提案も行っています。関連サービス:BtoBマーケティング支援へのリンク
初回のご相談は無料です。貴社のビジネスモデルや顧客状況をお伺いし、最適なアプローチを一緒に考えさせていただきます。以下のリンク、または弊社ウェブサイトより、お気軽にお問い合わせください。
顧客の成功を自社の成功に繋げるカスタマーサクセスの取り組みが、貴社の未来をより明るく照らす一助となれば幸いです。
マーケティングについて、何かご不明なことがありましたら、お問い合わせください。
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